J.H.倶楽部

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Learning Design 2018年09月刊

特集1│Chapter2│企業事例 CASE 2 アサヒビール 失敗を許容し、挑戦させるDNA 一握りのヒーローはいらない 一人ひとりを主役に育成

挑戦心に富み、一致団結して突き進む力に長けた熱血社員が多いアサヒビール。
同社では社員一人ひとりの個性に目を向け、主体的な挑戦と失敗を歓迎する風土が根づいている。
そのDNA や取り組みについて話を聞いた。

村瀬 進氏 人事部 副課長

アサヒビール株式会社
1949年設立。1987年のアサヒスーパードライ発売を契機に消費者志向の商品開発と業界初の販売戦略による驚異的な成長を遂げたマーケティング業界の好事例として知られる。
資本金:200億円、酒類事業連結売上収益:9,672億円(2017年12月期)、酒類事業連結従業員数:5,897名(2017年12月31日現在)

[取材・文]=佐藤鼓子

●定義・前提 個性に着目し、伸ばす風土

「出る杭」は、通常、突出した能力を持つ一握りの人材だと捉えられがちだ。だが、そもそも一人ひとりが個性や良さを持っており、各々が“出る杭”だという考え方もできる。そこで紹介したいのが今回の事例である。

現在、ビール類(ビール、発泡酒、第3のビール)市場でシェア№1を誇るアサヒビール。「出る杭」という用語が社内で明確にうたわれているわけではないが、個性を尊重した様々な施策を、採用から入社後の研修まで一貫して実施している。

背景には、社員の「光る個性」に着目し、伸ばそうという風土がある。新人の頃からとにかく挑戦させ、失敗を許容する環境があるのだ。

「挑戦の結果、成功は保証されていないかもしれないが、成長は必ず約束される。失敗を恐れて何も挑戦しないことのほうが悪」。自ら出る杭として活躍してきた同社の社長、平野伸一氏が、入社式で新入社員に必ず伝える言葉である。

「挑戦は、弊社のDNA として根づいているスタンスです。同様に“挑戦による失敗はどんどんしましょう”というのも社内の公用語です」(人事部副課長の村瀬進氏、以下同)

●挑戦を促す仕組み ①DNAを伝え続ける身近な存在

社員は、挑戦のDNA をどのように受け継いでいくのか。それを促すのが、仕事を通じた成長を支援する「ブラザー・シスター制度」である。

「入社後3年間は『ビジネスの体幹を鍛える土台形成期』と位置づけ、仕事の成果より、行動と、失敗から成功へつなげる過程を重視しています。特に入社後約4カ月間は、新人にブラザー・シスターという社内の若手営業担当者を育成担当としてつけます。彼らもどんどん失敗しよう、挑戦しよう、という会社のDNAを伝え続けるので、新入社員にも徐々にこの考え方が染みついていきます」

ブラザー・シスターは毎月、OJTシステムを元に、新人ができたこと、できなかったことをチェックし、確認してコメントを追記する。このOJTシステムは、新入社員に求めるスキル・知識・態度をカテゴリー別に設定。「失敗による気づきを得られたか?」や「業務に対して主体的、前のめりに行動したか?」といった項目も並び、失敗を恐れない挑戦の有無を客観的に振り返ることができる。さらにこの制度は、新入社員を取り巻く人たちも関わり、会社全体で育成を行うところにも特徴がある(図)。

ちなみに、ブラザー・シスター制度は原則志願制。手当や昇給は特になく、自身の仕事に加えて指導の負荷がかかるが、「経験を次世代に伝えたい」「成長したい」と情熱的な理由で挑戦する人が多いという。

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