J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2017年09月号

社労士が斬る イマドキお悩み相談 第30回 「いつでもどこでも」時代の労働時間管理

働く人の価値観の多様化から「働き方」も変化し、現場の管理職の悩みも“イマドキ”なものになってきています。
そんなイマドキな悩みの解決方法を、社労士の藤原先生が紹介します。


藤原英理(ふじわら えり)氏
あおば社会保険労務士法人代表。東京大学大学院修了後、大手製薬会社で研究職に従事。93~97年米国在住。帰国後、2000年大手証券会社に入社。社会保険労務士、CFPの資格取得。03年に独立、04年から現職。


[文] = 柳本友幸 [イラスト] = 秋葉 あきこ

第30回 「いつでもどこでも」時代の労働時間管理

部下の有給休暇中に取引先から問い合わせが来た。本人しか把握していない業務だったので、申し訳ないと思いつつも、連絡を取り対応をお願いした。話を聞いてみると、有給休暇に限らず休日でも、取引先から連絡が来れば対応しているらしい。本人としてはさほど負担には感じていないようだが、問題はないのだろうか。

勤務時間外の対応も「業務」

携帯電話やメールが社会に定着してかなりの年数が経ちますが、勤務時間外に、部下に電話やメールによる業務の連絡や指示を出した経験のある方は多いのではないでしょうか。しかしながら、勤務時間外の部下に連絡する場合、どのくらい緊急な用件なのか、それは帰宅後や休日にまで連絡する必要がある性質のものなのか、といったことを細かくルール化して対応している企業は、必ずしも多くないようです。

まず、このケースの場合、業務連絡を受けている時間やその後の対応の時間は、「業務」に当たるため、労働時間となり、残業代を支払う必要が生じます。また、この部下が直接顧客とやり取りをした場合も同様に労働時間となり、休日や深夜の対応であれば、休日手当や深夜手当も支払わなければなりません。

つまり、どういった対応にどれぐらいの時間をかけたのか、報告してもらい、給与を支払う必要が出てくるということです。

ちなみに、緊急対応の強制は業務命令に当たりますが、休日や勤務時間外であっても、業務命令を受ける可能性のある時間は「待機時間」「手待ち時間」として労働時間と見なされるケースもあるので注意が必要です。

こうして見ていくと、休日・勤務時間外の緊急対応については、現実的には、「対応を強制することはできない」「対応してもらった場合には、かかった時間を把握し残業手当を支払う」ことを前提にした依頼をしなければならないということになります。

うまく運用できない現実

会社側が勤務時間外の業務への対応を想定した場合、具体的には、業務時間外対応についてのルールをつくったうえで、経緯と時間数を報告する書式を作成し、その内容に従って残業手当を支払う制度を導入することになります。しかし現実には、例えば10 分程度の電話対応だけのために、本人に報告書を作成させ、手当を支払うというのは、効率的とはいえません。

結果として、たとえルールを定めていても、時間外のリモート対応を正しく運用することは難しく、緊急の用事であっても時間外を理由に担当者への連絡を行わないか、非公式な形でルール外の対応を行っているかのどちらかになっている例が多いと思われます。

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