J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2017年09月号

寺田佳子のまなまな 第21回 特定非営利活動法人NPOサプライズ 代表理事 飯倉清太さんに聞く ゴミ拾いから始めるまちづくり、人づくり

「誰もやらないのなら、自分でやればいい!」
今回のまなまなのお相手、飯倉清太さんは、実にしなやかで屈託のない精神の持ち主です。
地元・静岡県伊豆の課題解決に取り組み、ボランティア活動、オフィスつきの移住定住拠点の開設など、多彩な活動を展開してきました。
彼の人生を変えたのは、道端に落ちていた1本の空き缶でした―。

飯倉清太(いいくら きよた)氏
特定非営利活動法人NPOサプライズ代表理事。静岡県地域アドバイザー、明治大学社会イノベーションデザイン研究所客員研究員、総務省地域人材ネット推進委員。21歳で留学先のアメリカから帰国し起業。静岡県東部を中心に清掃活動グループを設立、現在は多くの地域活性マネジメントに関わる。

寺田佳子(てらだよしこ)氏
インストラクショナルデザイナー、ジェイ・キャスト常務執行役員、IDコンサルティング代表取締役、日本イーラーニングコンソーシアム理事、IT人材育成事業者協議会理事、熊本大学大学院教授システム学専攻講師、日本大学生産工学部非常勤講師。著書に『学ぶ気・やる気を育てる技術』(JMAM)など。https://www.facebook.com/InstructionalDesignConsulting/

行動する面白さに目覚める

NPOの代表理事、内閣官房地域活性化伝道師、総務省地域力創造アドバイザー、静岡大学非常勤講師、移住者向けソーシャルアパートメントのプロジェクトデザイナー、『伊豆食べる通信』編集長……。今回の「まなまな」のお相手、飯倉清太さんは、実に多様な肩書を持ち、ローカルビジネス、地方創生プロジェクトデザインのスペシャリストとして伊豆を拠点に日本中を飛び回る。しかし、わずか9年前までは、「伊豆のアイスクリーム屋のオヤジでした(笑)」という。21 歳で地元の特産「生わさび」を使ったアイスの店を起業。経営も順調だった飯倉さんに、いったい何が起こったのだろう?

2008 年のある日のこと。店先に空き缶が捨てられているのを見つけ、思わず、
「こんなところにゴミを捨てるなんて、ホントひどいよね」
というつぶやきと写真をブログにUPした。すると、こんなコメントが来た。

「だったら、自分で拾えばいいじゃん」それを読んだ飯倉さんのリアクションが興味深い。カチンときたのかと思いきや、
「確かに……」
そう、素直に納得したのである。

ブログやSNSの影響で、今や国民総評論家の時代である。多くの人が「あれはマズい、これじゃダメだ」と意見を発信するけれど、実際に行動する人は少ない。

「僕も、ゴミのことをブログに書くまでは、行政の対応について、『もっとああすればいいのになぁ』等と思うだけで、自分が何をすればいいのか分からなかったのです」

しかし、そのコメントで閃(ひらめ)いた。そうか、文句を言う前に、自分で拾えばいいんだ、と。

自分の立場や習慣に固執せず、あっさり「そうかもしれないなぁ」と視点を変えることができるこの“しなやかさ”と“屈託のなさ”。最近とみに注目される、優れた人材に必須の“アジャイル(俊敏さ、柔軟さ、軽やかさ)”なコンピテンシーが、どうやら飯倉さんの強みらしい。

飯倉さんは早速、店の周辺のゴミ拾いを始めた。地域の人に声を掛けると仲間が1人、2人と増え、ほどなく10人ほどで定期的に清掃活動をするようになる。いつもは車で通り過ぎる国道沿いを歩いてみると、山中にもゴミがいっぱい捨てられているのを発見。じゃあこのゴミも、みんなで拾おうと活動の範囲を広げ、地域活性事業を展開するNPO 法人サプライズを立ち上げた。

へぇ〜、清掃活動って、そんなに盛りあがるものなんですか?

「みんな、面白くなっちゃったんですよね。目に見えてキレイになるという達成感もあるけれど、『地域のために自分たちができることをやっと見つけた!』という喜びのほうが大きかったですね」

ゴミ拾いには、金もコネもスキルも必要ない。他のボランティア活動に比べて、ノーリスクで誰でもトライしやすい、というハードルの低さもあった。

役割、責任の垣根を越える

こうして仲間たちとゴミ拾いを続けるうちに、「ゴミ拾いをゴミ拾いだけで終わらせるのは、なんだかもったいないなぁ」という想いが膨らみ始める。その時、ふと浮かんだのが、
「ゴミ拾いをちゃんとマネジメントしてみよう」というアイデアだ。

ゴミ拾いをマネジメント? つまり何か新しい成果を生むためのツールとして“ゴミ拾い”を活用しよう、ってことですか?

「そうですね。人口減少や産業衰退といった地方の課題を、ゴミ拾いで解決できるのではないかと」

そこで、市民と行政の関係を、「街の清掃」をテーマに分析してみた。

ゴミが落ちているのを市民が発見する。ちゃんと清掃してほしいと行政に依頼する。これが、よくあるパターンだろう。

一歩進んだパターンは、自分たちのように、ゴミを発見したらボランティアで清掃作業をする、というものだ。しかし、市民ができるのはここまで。その先のゴミ処理は当然行政の仕事でしょ、と手を放す。

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