めざせ☆経営型人事 書籍に学ぶビジネストレンド 第36回 「オフィス環境と働き方」を考える
ビジネスのトレンドを知っておくことは、経営や人材を考えるビジネスパーソンにとって必須である。
本連載では、データバンクに勤め、1日1冊の読書を20年以上続けてきた情報のプロが、最新のビジネストレンドと、それを自分のものにするためのお薦めの書籍を紹介する。
マイクロアド(本社東京・サイバーエージェントグループ)がオフィスの真ん中に土俵を置いたことが、かつて大きな話題となった。新規事業チームの責任者のみが土俵内のデスクで仕事をすることを許され、業績に応じて「横綱」や「関脇」などの番付が決まる仕組みである。
オフィス環境には多くの企業が高い関心を寄せている。オフィスでペットを飼い、社員コミュニケーションにつなげたり、新たなアイデア創出のために会議中にアロマをたいたりなど、工夫を重ねる企業も多い。
博報堂の調査によると、「働く女性の幸せ(仕事充実度)」と最も強い相関が見られたのは「やりがいのある仕事」で、次いで「快適なオフィス環境」が選ばれている(2015年8月「はたらく女性のしあわせ調査〈Happy Woman Index〉」)。
また、2016年卒の就活生向けアンケートでは、就職先選定において、学生の90%以上がオフィス環境を重視すると回答している(2015年8月、フロンティアコンサルティング調査「オフィス環境に関する調査」)。
こうした調査結果はほんの一部であるが、いかにオフィス環境が重視されているかが分かる。「一億総活躍社会」を標榜する我が国としては、働くモチベーションや発想力を高めるという観点においても、オフィスの在り方は、重要なウエートを占めていくと予感している。
一方で、場所や時間を問わないテレワークが改めて注目されつつあることも認識しておきたい。コスト削減にもつながる在宅勤務を中心とした働き方は、今後広がっていくだろう。安倍政権も、雇用制度改革の一環としてテレワーク導入企業を2020年までに3倍にする政策を掲げている(2012年度比)。
オフィス環境の工夫・整備、テレワークの強化、両にらみで自社の発展を考えなくてはならない時代が到来している。
オフィスのみにフォーカスを当てた書籍は多く発刊されているわけではないが、大きくは以下に分類されよう。
①オフィス家具・文具関連企業による指南書