JMAM通信教育優秀企業賞 表彰企業事例報告 サニクリーン九州 学びを支える風土が生んだ 通信教育の新しい活用法
「学ぶ風土」を醸成している組織に贈られる「通信教育優秀企業賞」。
ここで紹介するのは九州全域で事業を展開し、法人約16万件、一般家庭約11万軒の顧客を、60の営業拠点でサポートするサニクリーン九州。
29年前から通信教育を導入し、自己啓発に活用し続けてきた同社は、5年前に「KIREI革命」をテーマに一大改革を断行した。
そんな同社の取り組みを、常務取締役の榛葉守氏と人財開発室マネージャーの織田育也氏に伺った。
5年前に方針を一大転換
サニクリーン九州は、1967年にサニクリーンの5番目のフランチャイジーとして事業をスタートした。マットやモップなどのレンタルに始まり、今では浄水器・空気清浄機、ユニフォームのレンタル、オフィスや家庭のクリーンサービスまでを幅広く手掛けている。
「当社は、『お客様の満足と信頼を得るサービス』を基本とする3つの信条を定めています。これを毎朝、各営業所で唱和し気持ちを新たにして仕事に取り組んできました」
そう社風について語るのは、常務取締役人事本部長の榛葉守氏だ。
同社は4年前、第45期を迎える際に「KIREI革命」をグランドビジョンとして打ち出した。これにより顧客、社員、社会との3つの接点を大切にし、それぞれに対する接点価値の向上に重点を置く改革に取り組んだ。中でも重視したのはES(従業員満足度)向上である。その背景には、業界内での競争激化があった。
「他社との差別化を図るために、人、つまり社員教育に力を入れることにしました。お掃除のプロとしてお客様に質の高いアドバイスや提案をするためには、教育を徹底し、社員のやる気を引き出すことが重要だと判断したのです」(榛葉氏)
その結果、生まれた制度が「おそうじマイスター」だ。
「掃除のプロ」を認定
「おそうじマイスター」とは、掃除に関する悩みに幅広く対応できる知識と技能を持つスタッフのこと。正しい知識とノウハウを身につけるためのさまざまなオリジナル研修を受講し、試験に合格した人がマイスターと認定される。現時点で「おそうじマイスター基礎コース」認定者は1377人、「上級コース」認定者は360人に上る(2015年10月時点)。
「『上級コース』認定は、まずはマネージャークラスから取得しています。上級はもちろん難易度が高まるので、マネージャーが率先して取得し、技術を現場で教えていくようにしたのです」(榛葉氏)
おそうじマイスター制度はCS(顧客満足度)に加えてESも狙って設計された。というのも、掃除に関する的確なノウハウを持った社員が対応すれば、顧客満足度は高まっていくからだ。例えば、客先の床の汚れ具合を見て、適切な掃除の方法や改善提案をすれば売り上げにもつながる、ということである。