負けないマネジャーのための孫子 第8回 失敗を防ぐ情報収集の教え
市場や競合の状況など、事前の情報収集をしっかり行っていれば避けられる失敗は少なくないのではないでしょうか。
今月はそんな「情報収集」に関する教えです。
なぜ情報収集が必要か
今月の教えには次の前文があります。「およそ10 万の軍隊を編成し遠方に出征することになれば、国民の経費や国家の出費も1日に何十億をも費やすことになり、国の内外と共に大騒ぎとなり、徴兵にとられ本職を投げ出す国民が何十万家にも及ぶ。そして数年間も対峙したうえで1日の決戦を争うのである」(現代語訳)
何事も成功すれば見返りが得られるかもしれませんが確実ではなく、失敗すれば多額の損失と貴重な人材が失われる、という事態に陥ります。それを承知していながら、調査職等の地位・権限を与えず経費を惜しみ、情報収集を怠るリーダーは、リーダーではないと説いているのです。
情報収集を阻害するもの
現実はどうでしょう。まず、マイホームの購入を例に考えてみます。
マイホームは「人生で最も高価な買い物」と言われます。それだけに、瑕疵などでの損失額を考えると、とてもリスクが高いものです。
しかし、買うにあたっての情報収集には、どの程度のコスト(費用・人件費)をかけているでしょうか。建物の堅牢性、メンテナンス性、災害への耐久性、地価の動向等、収集すべき情報は多岐にわたります。