企業事例(書く②) 東陽テクニカ 意識して書かせることで文章力と論理的思考を訓練
情報通信測定機器をはじめとする測定機器の専門商社、東陽テクニカ。社員の多くが理工系大学出身という同社では、論理的に考えをまとめ、文章を書く能力を養成するための社員教育を多数行っている。しっかりと書く力を強化することで、論理的に考える力がを養っている同社の教育を紹介する。
論理的な文章がビジネスを効率化する
光通信関連測定器や騒音振動解析システムといった専門性の高い測定機器を輸入・販売する東陽テクニカ。商社の枠にとどまらず、測定機器の専門企業としてアフターサービスや機器の自社開発など、幅広いビジネスを展開している。同社の主要な業務内容が、理工系の知識が必要なものであることから、社員の多数が理工系大学出身だ。
そうした中、同社では論理的に書く能力を重視し、文章力向上のための社員教育を行っている。代表取締役社長渡辺洋介氏は、文章の書き方を社員に学ばせる理由をこう語る。
「当社の事業では、国内だけではなく海外との折衝業務が多く、日本語・英語を問わず文書を書くことが求められます。日本はもちろん、海外のビジネスパーソンとも対等にビジネスをするためには、相手を説得できるような文章を書かなければなりませんし、相手を納得させるためには論理が必要です。論理的な文章を書くということは、文系・理工系に限らず仕事をするうえで必要不可欠な能力なのです」(渡辺氏、以下同)
同社が書く力を意識するようになった背景は、ある時期から若手社員を中心に文章力の低下が目立ち始めたことにあるという。
「私は、毎朝、社員たちから上がってくる500通に上る文書に目を通しています。毎日文書を読んでいるうちに、同じ内容のものが何度も顧客とやり取りされていることに気づきました。1回で終わるはずのものを、3回やり取りをすればコストは3倍に膨れ上がり、ムダが出ます。テーマや結論が明確に示された文章は、コスト削減につながるのです」
同じテーマの内容を複数回確認すれば、最悪のケースでは顧客に不安を与え、信頼を失う。論理的な文章が書けるか否かは、企業の印象、さらには業績を左右することもある。書く力がビジネスに与える影響は、非常に大きいのである。
書く力の養成は読むことから始まる
社員の書く力を強化するために、同社では、Off-JTや通常業務の場を通して文章を書く機会を多数設けている。主な取り組み内容は、①内定者は読書感想文を提出②新入社員研修時の「週報」