人材教育 The Movie ~映画でわかる世界と人~ 第28回 「エデンの東」川西玲子氏 時事・映画評論家
「エデンの東」
1955年 米国 監督・製作:エリア・カザン
『エデンの東』は、歴代アメリカ映画のベスト10に入る名作である。私はこの映画を観るたびに感動し、いろいろ考えさせられてきた。だが今回ほど痛切に、この映画が訴えかけてくるメッセージについて考えさせられたことはない。
○家族を思う気持ちが交差
舞台はカリフォルニア州サリナス。24歳の若者キャルは、清廉潔白でまじめな父親と、気性が父親にそっくりで真っ直ぐな兄アロンと3人で暮らしている。キャルはひねくれていて、いつも父親に対して反抗的な態度を取る。だがそれは、兄より愛されていないと感じているからだった。そして死んだと聞かされている母親が、実は酒場を経営していることを知り、母の気性に自分との共通点を見出す。