連載 人材教育最前線 プロフェッショナル編 “ 仕事も研修も面白く” 情熱が人材を進化させる
1884年に創立された三菱重工業。同社が取り扱う製品は、宇宙ロケットから発電設備、船舶、産業機器、家庭用エアコンなどと幅広く、合計700品目にも及ぶ。世界規模で事業を展開する三菱重工業では、社員のグローバル対応力強化のためにグローバル人材育成体系を整備し、2011年度から新たな育成施策を開始した。教育・研修プログラムをこれまで以上に充実させる取り組みを推進したのが、人事部次長の原田庸一郎氏。自身も同社の米国法人である米国三菱重工に法務担当として4年半赴任した経験を持つ。原田氏の人材育成に対する想いを伺った。
クールな一匹狼から情熱のリーダーへ
「仕事の現場で人は磨かれ、成長していく」と話すのは、三菱重工業人事部次長の原田庸一郎氏である。原田氏は、「いくつになっても人は変わることができる」というが、「変わるという言葉に否定的な含みを持ってもらいたくない。“進化する”といいたい」とも続ける。「今でこそ私は社交的ですが、学生時代は人と距離を置くようなところがあり、学内の人とはほとんどつき合いませんでした」
その原田氏が今、人材育成担当者として社員に重要性を訴えているのは、「5つのE」だ。これは、元GE会長であるジャック・ウエルチ氏が提唱した「4Eリーダーシップ」――
①自らがエネルギーに満ち溢れていること(ENERGY)、
②周りの人々を元気づけること(ENERGIZE)、
③ぎりぎりの場面で決断でき、前に進める力があること(EDGE)、
④実行して結果に結びつけることができること(EXECUTE)というリーダーシップの要素に、
⑤相手の立場や意思を推し量ったうえで解決策を提案できること(EMPATHY)という5つめのEを原田氏が独自に加えたものである。
かつては仲間に対し斜に構えていた青年時代の原田氏が、チームを牽引する熱いリーダーへと進化したのは、入社以来取り組んできたさまざまな経験と出会いのおかげだと笑う。