人材教育 The Movie ~映画でわかる世界と人~ 第26回 『戦火の馬』川西玲子氏 時事・映画評論家
「戦火の馬」
2011年 米国 監督:スティーヴン・スピルバーグ
○馬の姿が教える「人」
私は馬が好きだ。走っている姿を見ると惚れ惚れする。だから映画の中に馬が出てくると、いつも注目して観ている。馬ほど人間のために働いてきた動物はいない。馬はいつも人間のそばにいた。人間は馬に乗り、物を運ばせ、畑を耕し、競馬というスポーツ文化を形成してきた。
そして、戦争にも駆り出してきたのである。それがいかに残酷なことだったか、この映画は教えてくれる。私は今まで、さんざん馬が出てくる戦争映画を観てきたのに、そのことをわかっていなかった。無意識のうちに、馬上の人間に目を奪われていたからである。