連載 酒井穣のちょっぴり経営学 第17 回 未来を予測できない時代の戦略論の基礎①
今回は「戦略」について取り上げたい。戦略とは、何か問題を解決していったり、将来に向かって成し遂げたいことを進めていくことである。しかし、実際に戦略を立てるには、何をどう考えていけばいいのだろうか。不確実な時代に、少しでも成功の確率を高めていくための方法とは。2回にわたって解説する。
今、あなたの目の前にはいろいろな問題があると思います。仕事上の問題はもちろん、キャリアや人間関係、健康やお金の問題など、人間であれば誰もが少なからぬ問題を抱えています。こうした問題には、それぞれ個別の原因があるように見えて、実は、1つだけ共通する点もあるのです。それは、全ての問題の原因は、必ず過去にあるということです。
確かに、今、目の前で起こっている問題を解決することも大事なことです。しかし、近い将来、あなたの周りで発生する問題の多くは、今のあなたの判断にこそ原因があるという視点を持たないと、将来もまた、今と似たような問題に悩まされることになるのではないでしょうか。
将来を予測し、「戦略」を立てて、それを実行するということは、今の自分の判断によって、より良い将来をつくり出して行くということです。それは、自分の将来を、自分の責任においてデザインして行こうとする態度でもあります。
戦略とは旅行の計画である!
戦略の定義は、驚くほど多数存在しています。ここでは、そのどれが優れていて、どれが劣っているかということを議論しても仕方がないので、僕の考える定義にしたがって話をしていこうと思います。
僕の考えでは、戦略をシンプルな概念で表現すると、図表1に示すように、現在地から目的地に行く時のルートとして例えられます。これは、いわば旅行の計画です。旅行の計画を立てる時には、次のような手順に従うでしょう。
ステップ1. 現在地を明らかにする
ステップ2.目的地を明らかにする