読者提言 論壇 部下を活かすも潰すも課長次第~部下を幸せにする課長は何が違うか~
人間力とは、信頼関係を築くうえで重要な要素であるが中でも課長と部下の信頼関係は、永遠のテーマの1つである。課長と部下は、大抵の場合、お互いがお互いに対して、「望むことをしてくれない」という思いを抱えているものだ。それでは、日々の仕事に悪影響が及ぶ。良い仕事を生む両者の関係性には、何が必要なのだろうか。
1.課長と部下が信頼関係を築くためには
私は研修講師として、さまざまな企業に出向き、多くの方と接する機会をいただいている。研修の対象者の階層は、新人や中堅層、それに課長までと多岐にわたる。
研修の参加者である課長たちと話をしていて感じることは、部下との関係に悩みや問題を感じている課長が多いということだ。一方、新人から中堅層を対象にした研修の参加者たちの中にも、上司である課長との関係に悩みや問題を抱えている方が多い。
課長が部下に感じる問題とは、「主体的に動いてくれない」「挑戦的な仕事を避ける」などである。そして部下が課長に感じている問題は「情報を降ろしてくれない」「判断をしてくれない」といったもの。それぞれ立場が違うので、感じている問題も当然異なる。ただ、双方に共通しているのは、「相手が自分の要求・期待に応えてくれていない」ことを問題視しているということだ。
では、どうしたら課長と部下がこれらの悩みをクリアし、真の意味での信頼関係を築けるのだろうか。
もちろんそれは、日々のコミュニケーションをしっかり行うことが大前提となるが、仕事上での関係性であることから、お互いが「やるべきこと」(要求)と「望むこと」(期待)をきちんと行い続けることが大きな要素となる。目標面談で定めたことや、仕事を行ううえでお互いに了解したことを両者が行わないと、いくら普段会話が多くても、関係性は損なわれていく。
そこで、この「要求・期待」ということに着目し、主に、課長がどうしたら部下と良い関係を築けるのかについて考えてみたい。
2.部下の要求・期待に応えることを疎かにしない
多くの課長は、部下の要求・期待に応えることなく、自分の要求・期待に応えることのみを部下に求めてしまう傾向にあるようだ。それには理由がある。部下は、基本的には課長の指示・依頼されたことを行うという組織の決まりがあるからだ。双方がこの決まりの中で仕事を進めていれば、いつしか、課長は“部下は、自分の要求・期待に応えるのが当たり前”という意識に陥り、部下の要求・期待に応えようという意識が薄くなってしまうようだ。
しかし、課長が部下に自分の要求・期待に応えてほしいのであれば、まずは、自分が部下の要求・期待に応えることが先である。ところが部下との関係に問題や悩みを抱えている課長ほど、部下の要求・期待に応えようとしていない。しかも、大半が、そのことにさえ気がついていないようである。