「信頼関係作り」をベースに人が育つ企業風土を醸成
より安全で、より便利な暮らしを追求してきた結果、未知への挑戦であるアドベンチャーは、一般の日常から遠く離れた存在となった。しかしここにきて、アドベンチャーが人間形成や信頼関係作りという点で注目され、企業の組織作りに活用されている。世界中の企業で導入されているプロジェクトアドベンチャープログラム(以下、PAプログラム)を日本で展開している林氏に、企業がどのようにアドベンチャーを活用しているか、お話を伺った。
信頼関係を取り戻せ
人材が育つためには、多くの経験と気づきが必要だ。現在の自分に満足することなく、自己に対する気づきを真摯に受け止め、広い視野に立ち、失敗を恐れず、新しいことに挑戦する意欲を、皆に持って欲しい──。企業の経営者もマネジャーも、人事部の教育担当者も、そう願っているはずだ。それこそが、人が育つ企業風土の、土壌となるものだからである。
しかし、現実にはその反対──気づきを受け止めることが出来ない/気づくことができない、視野が狭い、挑戦したがらない人材に、悩む教育担当者も少なくない。こうした状況について林氏はこう述べている。「失敗を恐れず新しいことに挑戦するために必要なことは、職場の『信頼関係』です。ところが、信頼関係はそう簡単にはつくれません。そこで、弊社が提案しているのがアドベンチャーを利用した信頼関係づくりです」
アドベンチャーで体験学習
アドベンチャーが人の成長に良い影響を及ぼすことが、近年は知られているが、その研究は1940 年代のイギリスの冒険学校にまで遡る。それが世界に広く認知されるようになったのは、1971 年にアメリカで“Bring The Adventure Home”(冒険を、もっと身近に)というスローガンのもと、アドベンチャーを身近に持ち込んだことにより、その研究と実践が発展してきたからである。