“宇宙一の企業”をめざす 価値観に基づく環境づくり
「宇宙一の企業」をめざす会社がある。
モバイル広告代理店事業を行うライブレボリューションだ。
理想の組織を追求するために、
“人として当たり前で大切にすべき価値観”を
『LR HEART』として明文化し、
採用や評価の制度と連動させて、
従業員の行動へと結びつけている。
「宇宙一」を見据えた企業の環境づくりを紹介する。
愛をベースにした経営がメンバーを幸せにする
ライブレボリューションは、モバイル広告仲介の分野で近年急成長の企業だ。「宇宙一の企業」になるというビジョンを掲げ、「メンバー第一、顧客第二主義」、「ノルマなし、サービス残業なし」といったユニークな制度や組織風土を持つ。同社の創業者で、代表取締役の増永寛之氏は、次のように話す。「“宇宙一”というのは、売り上げや利益ではなく、宇宙一愛されるということです。それにはまず、当社がメンバー(従業員)から愛される存在でなくてはなりません。一番身近なメンバーからも愛されない企業が、お客様や取引先から愛されることはないからです」(増永氏、以下同)
この根幹には、「人は幸せになるために生まれてきた」という増永氏の信念がある。人は、単に仕事をするためだけでも、お金を稼ぐためだけでもなく、幸せになるために生まれてきた――だからこそ、ノルマを課して競争させるのではなく、共感や感謝、愛をベースにした組織環境を整えることが重要だと増永氏は述べている。
この同社の理念や価値観は、「LRHEART」という形で、「宇宙一愛される企業になる」というビジョンのもと、経営理念、企業理念、同社のメンバー全員が守るべき29の基本原則などがまとめられている。その内容は、「人間性を追求する」「個人プレーよりチームプレー」といったことから、「メールを出す際のエチケットを守る」「身の回りの整理整頓」などの細かな項目まで多岐にわたる。
たとえば、うち1つには「高潔さが基本」という項目があり、法や規則を遵守するとある。「 例を挙げると、メンバーが1000万円の損失を生むミスをしたとしても、当社では許されます。しかし、たとえ1万円でも横領するようなことがあったら、そのメンバーは即解雇でしょう。なぜなら、金額の大小ではなく、その行為が高潔さに反するからです。同様に、残業代を支払わないというのも法に反していますから、当社ではサービス残業は一切ありません」
また同社を訪れると、受付には訪問客の名前が書かれたウェルカムカードが置かれ、複数のドリンクメニューから好きな飲み物を選ぶことができる。これもLR HEARTにある「お客様への感謝」「礼儀正しさ」「積極的で丁寧なコミュニケーション」という項目を実践している形だ。
こうした姿勢や企業風土が評判を呼び、同社は就職活動中の学生から広く共感を集めている。2009年から3年連続で「就職活動中に出会った魅力的な企業ランキングNo.1」に選ばれ(ジョブウェブ調べ)、同社の就職セミナーや会社説明会には、4万人を超える学生が訪れるという。
また顧客からも多くの信頼を得て、同社の事業は着実に拡大してきた。2004年12月期の売上高が3億8000万円だったのが、2005年期末で7億3000万円、直近の2010年には53億円まで成長している。