連載 グローバルビジネスに役立つ教養の本棚 第11回 「国家論」 国家と不可分なグローバルビジネス
世界では恐らく日本人が思う以上に国家に対する当事者意識を持つ人が多い。また資源、インフラ、金融、ハイテクなどに関して競争を行う国家はビジネスに多大な影響を与える。そして、国家は個人にとってはモチベーションの源泉ともなる。今回は「国家」の意義や本質を知る書籍を紹介する。
国家への関心が相対的に薄い日本人
これまで、この連載では「宗教」や「哲学」といった文化的な領域に焦点を当ててきました。今回はもう少し具体的に形になっているものに焦点を移し、制度としての「国」について考えるための書籍を紹介します。
この「国」という概念は、日本人ビジネスパーソンの大多数にとって盲点になりやすい分野です。「そもそもビジネスパーソンは、国の運営を担う国家公務員や政治家ではないのだから、日本人に限らず、国に対する高い関心を持っていないものではないか」という意見もあるかもしれません。しかし、これは必ずしもそうではないのです。
近代国家を自力で生み出し、それをさらに一歩進めたEU(欧州連合)をつくったヨーロッパ諸国や、半ば人工的に国家をつくり上げた米国では、国というものに対する国民全般の当事者意識は一般的な日本人とは大きく違います。
近隣の国に目を向けると、韓国には徴兵制があり、多感な青年期に全員がそれを通じて国という存在と向き合わざるを得ません。