覆面座談会 女性管理職のホンネ これからが正念場 女性管理職が考える女性の働き方
産休や育休といった制度の充実、ダイバーシティや労働人口減少などから、女性活躍を推進したい企業が増えている。だが、企業がめざす女性活躍と、実際の女性管理職の働き方にギャップはないのか。今回は5名の女性管理職が集まり、本音で語り合った。管理職のやりがいや苦労、また、管理職だからこそ見えている今後の女性の働き方とそれを支える企業のあり方など、話題は多岐にわたった。
成果が何倍にもなる管理職のやりがい
―まず始めに、管理職という仕事のやりがいについてお聞きしたいと思います。実際に仕事を体験してどのように感じられましたか。
D氏
メンバーだった時は自分の仕事がイコール成果になっていましたが、管理職になると部下の成果も加わります。成果の量が×何倍となり、全然違いますね。成果をどれくらいの大きさまで求めるかを決めるのも自分。部下は私の指示で動くわけで、それを実感してからは、部下にうっかりしたことはいえないと気を引き締めました。
E氏
管理職は1つの組織の長ですから、その責任において会社に対してもやりたいことをきちんと発言できるようになったと思います。一個人がやりたい思いを上司に伝えることとは違って、宣言すれば明日から実際に組織が動くわけですから、重みが違いますね。
C氏
部下のマネジメントは大変ですが、アウトプットの質も、どこまで仕事のレベルを持っていくかという点も自分で決められます。決裁できる事柄の範囲も広くなりました。どんな組織にするかもマネジャー次第で、自分色にすることもできる。プレッシャーも感じますが、面白い仕事だと思います。
―部下を持つことで、やりがいにも変化が生じるようですね。ただ最近は、若手社員に管理職になりたくない人も増えているそうです。皆さんはどう思っていましたか。
A氏
当社は、私の上の世代にそれほど女性管理職が存在していませんでした。とはいえ、ロールモデルがいないからといって、めざさないかというと別問題。その点はあまり関係ありませんでした。私自身は率先してなりたいといってきたわけではありませんが、下の世代を見ると、なりたい人となりたくない人に分かれている感じですね。
E氏
私も会社にいわれましたが、なぜやらせてもらえたのかと考えると、精神的にタフだから。私が仕事でめげないと思っているんですね(笑)。でも確かに精神力はマネジャーにとって大事な要素だと思います。
B氏
私は上司に管理職になりたいと伝えました。それまでにも、肩書きがないだけで、それに近い仕事をしていました。女性は教えてもらえる管理職のメンターが少ないですし、職業柄「管理職になりたい」という顔をしていないと順番は回ってこないですね。
ロールモデルは必要?不要?仕事は自分スタイル
―人の成長には目標も必要です。皆さんには、こんな人になりたいというロールモデルはいましたか。
D氏
私は20 代のころ「ロールモデルがいないことは嫌だな」と思っていました。今、女性管理職は少なからずいますが、皆さん個性が強く、なかなかこうなりたいと思ってもなれない方ばかり。だから、私も、結局自分が思うようにやるしかないし、自分のキャラクターで生きるしかないと割り切ってきたように思います。マネジメントのスキルは男女どちらからでも学べますから、ロールモデルがほしいとは思いません。後輩に対しても、私と同じような人になってほしいとも思わないですね。
C氏
当社は社員の7~8割が女性で、管理職も多い。ただ、既婚でも子どもがいない人が多いですね。要するに男性並みの働き方をしている人が多いのです。なので、この人だと思う一人の女性管理職にロールモデルを求めるのではなく、男女関係なく、人の良い部分を盗めばいいのではと思います。この話はあの人、あの話はこの人と聞き分けるといい。
B氏
Cさんがすごくうらやましいのは、世の中にはいろんなタイプの女性がいて、いろんな働き方があると知る機会を得られる点です。今、当社には女性管理職はほとんどいませんし、既婚者もいない。その状態で「管理職で頑張れ」と上司にいわれると、「えーじゃあ私は結婚できないの」と思ってしまうんですよ。
E氏
一般的によくいわれる女性管理職のロールモデルは、子育てと仕事を両立させている人ではないでしょうか。それに比べると、独身の私はある意味で「おじさん化」しているといえるかもしれないですね。