人事の職場拝見! 第31回 ビジネスパフォーマンス向上のソリューション 変化に強い企業力をつくる教育改革
エヌケーケーシームレス鋼管が求めるのは、“文化や習慣の異なるグローバルな環境の中でも、企業目的に適う価値を生み出せる人材”である。その実現のために、既存のプログラムを見直し、“本当に求められる教育”を模索する人事部。同社の教育は、今まさに分岐点に立っている。
パフォーマンスを導く教育への方針転換
エネルギー関連企業にパイプ製品を供給するグローバル企業テナリス(本社:アルゼンチン)。エヌケーケーシームレス鋼管は、その日本での製造・販売拠点であり、ハイエンドの継目無鋼管(シームレスパイプ)専業メーカーとして、前身の日本鋼管の時代から100年を超える長い歴史を持つ企業だ。同社の人事部は、グローバル・マトリックス組織の中に組み込まれ、採用や教育など機能別にそれぞれテナリス本社部門にもレポート・ラインを持つ。つまり各機能がグローバル・ポリシーに基づきながらローカルの課題へ対応することが求められる。社員教育を主管するTenarisUniversityは2005年に創立。グローバルビジネスを展開する中で、社員教育を通じてのみ、競合他社との差別化が図れるとの信念から、全世界の社員に対し、テナリスが求めるカリキュラムをPushしてきた。だが近年、一定の成果が見えてくると、今度は社員のパフォーマンス・ニーズに基づくPull型へシフトすることになった。人事部長の河合秀忠氏はこう話す。「教育・研修を受ける習慣を根づかせるためにPushは必要なステップでした。しかし今後は、ビジネスの目的に適うパフォーマンスを導くソリューションの1つとして、トレーニングが位置づけられます」