ID designer Yoshikoが行く 第80回 ガーナに人材育成の火をつける! 灼熱セミナー
はるばる来たぜ、アフリカへ!ドバイ経由で20数時間、ボーッとした顔で降りたそこは、旧ゴールドコーストのガーナの首都アクラである。なんでまた、極寒の日本から乾期の日差しがジリジリと肌を焼く酷暑の国に来ることになったのか。それは、おカネでもモノでもなく、日本の人材育成のノウハウを教えてほしい、日本のような国づくりがしたい、という人たちが待っているからだ。なんとも嬉しいオファーである。実はガーナ共和国公務員研修所では、リーダーシップを身につけ、効率的なサービスができる公務員育成のために、3年がかりで研修開発に取り組んでいる。いよいよ総仕上げの今年、現地アクラで4日間のファシリテーション・スキル上級セミナーをすることになったのだ。
いよいよガーナへ!現地の現状と課題
町の中心部には意外にも日本車が溢れ、ビルの谷間には食料品から電気製品までありとあらゆるものを並べた露天のマーケットが続く。その間を、色鮮やかな衣装をまとったナイスバディな女性たちが大きな籠を頭にのせてシャナリシャナリと優雅に行きかい、どこからかアフリカンドラムのような音楽が流れてくる。ロマンとモダンが交錯する不思議なエネルギーが町中に溢れている。なんともウキウキする風景である。まず、新築ピカピカのラーニング&ディベロップメント・センターで研修所所長のマダム・ドラと打ち合わせ。過去2年の研修評価レポートを分析すると、研修成果をアクション・プランに落とし込み、各職場に提案するところまではこぎつけている。しかし、そこから先が難しい。新しいルールを導入しようとガンバる人材育成担当者のひとり相撲になってしまい、「組織全体の意識変革」までは至っていないのが現実だ。「タイムマネジメントが大事だって」「ふーん、そう」、「会議の内容はちゃんと議事録に残さないといけないんだって」「誰か書くんじゃない?」と、まぁ、現場はこんな調子。理想と現実、研修と現場の乖離は、まことにグローバルな課題なのである。これを一歩進め、現場できっちり成果を出すには、管理者を巻き込んだEnvisioning(ビジョンの共有)と、Engaging(組織内の役割分担を明確にしたチームづくり)を事前にしなければならない。つまり日本流「根回しの術」を身につけ、ビジネスの現場とやり合うキモチの強さが必要なのだ。そこで、「Head(知識)とHand(技術)だけでなく、Heart(情熱)を動かすワザを身につけることをテーマにしたいの」と提案したところ、「いいわぁ~、じゃあ、3つのHをとって『3Hプロジェクト』にしましょう!」とマダム・ドラもノリ気である。