連載 起業するイノベーターたち 【第9回】 正しいペット文化の普及を目指す

中小・ベンチャー企業の創業者、後継者の実話から変革への要点を探る
「ねこたま」「いぬたま」など犬猫のアミューズメント施設を企画・運営するMK.スエマツ。これらの施設はペットを飼いたくても飼えない人たちの支持を集め、いまや超人気スポットと化している。同社は人とペットとの触れ合いの場を提供するだけにとどまらず、諸外国に比べ遅れたペット文化を日本にもたらすべくさまざまな活動を展開する。こんな同社を指揮する末松脩社長とはどのような人物なのだろうか。
最初にビジネスありき
若いカップルや家族づれでにぎわう東京港区のお台場。昨春、ショッピングセンター「テックス東京ビーチ」(東京臨海新交通「ゆりかもめ」・お台場海浜公園下車、徒歩2分) 内に、キャッツハウスがオープンした。「ねこたまキャッツリビン」。個性豊かな猫だちと遊べる、お台場の新スポットである。
同施設のスペースは約100 坪で、間取りは3 LDK。 ここにさまざまな種類の猫約90 匹が飼育されている。どの猫もよく訓練されていて、だれにでも愛想がいい。顧客は、気に入った猫をひざの上で抱いたり、元気に走り回る姿を目の前で見ることができる。入園料は700 円である。
この施設を企画・運営するのが新時代のペットショップを標榜するMK.スエマツ。末松俯社長は人一倍正義感が強いうえ、ペット業界きってのアイデアマンとして知られる人だ。
末松氏は福岡県生まれ。戦後、「東京に行けば何とかなる」と上京する。最初に就いた職業は東京タワーでの土産物売りだった。その後、消火器屋、ガラス屋、自転車屋などの職業を転々。60 年代後半に、ペットショップを開き、犬猫との付き合いが始まった。
「『ペットショップを経営している』なんて言うと、だれもが私のことをよほどペット好きの人間だろうと思うようです。でも、実際は違うんです。ペットは嫌いではないが、それにのめり込むほど好きな訳でもないんです」(末松氏)
末松氏がモットーとするのは「最初にビジネスありき。それがたまたまペットショップたった」だけのことなのである。
ペットショップを開いたのも、意外なことがきっかけであった。ガラス屋を営んでいた時、熱帯魚を飼うための水槽づくりを依頼されることがしばしばあった。特注の水槽をつくっているうちに、やがて、でき合いの水槽を販売するようになり、ついでに熱帯魚を販売。気がついたら、犬猫を販売するようになっていたという。
「事業が拡大できたのは、私かペット好きでないことが幸いしているのかもしれません。のめり込みすぎると、周りが見えなくなりますから」(末松氏)