ケース 住友商事 人事システムの一元化で 現場の人材活用をサポート
2000年に新人事制度を導入し、成果主義の徹底と現場への権限委譲を進めてきた住友商事。同時期に人事システムについても見直しを図り、人事情報を一元管理するシステムを構築。人事業務の効率化を実現するとともに各事業部門における人事情報の有効活用を推進している。
肥大化・複雑化した人事システムを見直し
住友商事が人事システムを導入したのは1989 年。ホストコンピューターにシステムを構築し、これまで制度変更やイントラネット導入などに応じて随時修正や追加を加えてきた。しかし、10年以上にわたり修正や追加を重ねてきた結果、システムが肥大化・複雑化し、修正のたびに費用や期間がかさむようになり、ついには組織などに割り振るコード類が枯渇する事態になる。
そこで2000年秋にシステム刷新の検討を開始。ウェブペースのERP パッケージを採用し、業務ごとに分散していたデータベースを統合。人事情報を一元管理し、人事部だけでなく全社的に用途に応じて有効活用できる新たな人事システム「シャイン:Shine 」を導入。準備に約2年かけ、2003 年1月から稼動を開始した。
「89 年の時は、システムが稼動して軌道に乗るまでかなり大変だったという話を聞いていますが、今回は他社での導入実績があるERPパッケージを採用したこともあり、最初の月の給与計算もスムーズにいくなど、大きなトラブルはありませんでした」と語るのは、人事部労務チームの田崎大洋氏。新システムを導入したことで、主に4つの点で効果があったという。
まず第1に、データベースを一元化したことにより、人事情報を有効活用できるようになった点。これまではホストコンピューター、クライアント・サーバー、イントラネットとそれぞれのデータベースが存在し、異なったデータベースの情報を組み合わせて出力するのは困難だった。そのためデータ処理に手間と時間がかかっていたが、一元化によって情報をタイムリーに出力することが可能になった。
第2に、出力面におけるペーパーレスの推進。旧システムでは1,000 以上あった定型の帳票が、新システムによって法定帳票を中心に40 まで削減された。また、汎用検索ソフト(Oracle Discover) を活用することにより、必要な情報がデータで引き出せるようになり、従来のように紙で残す必要がなくなった。
3 番目に逆に入力面では、従業員がウェブを通じて自ら申請を行うセルフエントリー機能が拡充した。既存のイントラネットでも一部稼動していたが、新システムでは人事部への日常的な申請業務がほとんどカバーされている( 図表)。