連載 調査データファイル 雇用・人事システムの構造改革 第45 回 若年者雇用問題②

欧米に続き、日本でもようやくニートやフリーターといった若者の失業が
問題になってきた。こうした若者の就業対策は、今後、少子高齢化がます
ます進展していくなかで重要な課題である。最近、急増するニートには、ど
のような属性があるのか、また彼らの就業希望意識の実態について探って
みた。
1. ニートの属性
ニートの名付け親はイギリスであり、学校にも行っていない、仕事もしていない、職業訓練も受けていない若者達を、NEET(Not in Education, Employment or Training)と呼び、再就業させる政策対象として、特別の対策を講じてきた。欧州諸国は、早くから若者の失業問題に悩まされてきており、若年失業対策に力を入れてきたが、日本もようやく同じ問題に悩まされ始めたという状況にある。
バブル経済が崩壊した後の深刻かつ長期的な不況過程で、企業が若者の採用に慎重になったこと、「ゆとり教育」と称する学校教育や家庭のしつけ放棄によって、基礎学力や人材としての資質に問題があると思われる若者達が増えたことなどが複合的に重なって、若年失業・無業者が急増したのである。言わば企業、学校、家庭の負の相乗効果によって、若年失業・無業者が増加したわけである。
ところで、増加するニートは、どのような属性を持っているのだろうか。ニートを「15~34歳の非労働力のうち、主に通学でも家事に従事でもない者」とし、「労働力調査」(総務省)から算出すると、2003年で約64万人となる。これは同一年齢人口の約1.9%に当たる。
ニートの学歴構成を見ると、中学卒(28.5 %)と高校卒(49.0%)が占める割合が高いが、大学・大学院卒も12.7 %を占めている(図表1)。また、学歴別卒業者におけるニートの出現率を見ると、中学卒が8.8%で最も高く、次いで高校卒(2.6 %)、大学・大学院卒(1.3 %)となっている(図表2)。大半の者が高校進学する現状を考慮すれば、中学卒のニートには、高校中退者がかなりの割合を占めているものと思われる。ちなみに高校中退者は、2003年で年間8万人強に達している。
