連載 新しきは足下にあり 第17 回 鈴木正三に戻るべき時
人間はなぜ働くのか
いま、会社と社員の関係についても、変革が要求されています。
なぜなら「働くことの意味」が改めて問われているからです。
その象徴として、フリーターの急増が社会問題になっています。フリーターとは、正式に特定の会社の社員になることをしない人々です。
これらの人々がそうした状況になったのには、さまざまな事情や理由があろうと思いますが、その背景から浮かび上ってくるのが、企業というものに対する不信感です。
相変わらず企業不祥事はやむことなく続発しています。その多くは自社利益のみを優先させる反社会的で非人間的行為であります。純粋な若者の心からすれば、そんな集団の一員になりたくはないと思っても致し方ないというべきです。
さらに近年のリストラ旋風で、自分の父親が会社都合の人員整理の対象となって、ひどく簡単に退職して帰宅でもすれば、就職とは一体何なのかと思わざるを得ません。
戦後60年、いよいよ日本の企業にも本格的な曲り角がやってきたのです。
そこで問われているのが、「人間はなぜ働くか」という問題です。