第20回能力開発優秀企業賞受賞企業 本賞 東急リバブル
顧客の多様なニーズに応えるため
全社員が不動産コンシェルジュになる
受賞テーマ
「不動産コンシェルジュ」
育成を目指す人材育成システム
経営計画の遂行に必要とされるのは、「期待を超えるひとつ上のお客様満足」を提供できる人材であり、それを実現可能にするのが「不動産コンシェルジュ」であるとして、東急リバブルでは7つの資質を定義している。社員全員をこの「不動産コンシェルジュ」に育て上げるという同社の人材育成システムが、本賞受賞の対象となった。
「不動産コンシェルジュ」としての7つの要件はトップからミドル、若手社員にまで徹底して浸透している。またその実践の効果は、宅地建物取引主任者資格試験の合格率向上、新入社員の定着率向上、さらには業績向上へとつながった。全社をあげての能力開発活動が企業の体質強化に直結した好事例として高く評価され、不動産業界初の受賞となった。
社員1人ひとりの行動がブランド価値を決める
総合不動産流通業の東急リバブルは2005年度から、そのブランドの再構築に取り組むべく、「ブランド戦略プロジェクト」をスタートさせた。その中で、どのような会社を目指し、何を実現するのかを具体的に議論し、「お客様の期待を超えるひとつ上のお客様満足」というビジョンを策定。すべての社員に「不動産コンシェルジュ」であることを求め、専門的な知識やスキルはもちろんのこと、誠実な対応で、顧客にサービスを提供することを目指すブランド・アイデンティティ案がまとめられた。現在同社では、それを目指す人材育成に積極的に取り組んでいる。
人材開発部長の春原昌明氏は、「サービスが商品となる不動産流通業としてお客様に信頼され、任せていただけるためには、営業の質、コンサルティング能力などあらゆるニーズを満たすことのできる人材が必要です。そうしたお客様の期待以上のサービスを提供するために“7つの資質”を満たす不動産コンシェルジュを目指そうという流れになったのです」と当時を振り返る。
この7つの資質とは、①接遇力、②人間性、③高水準、④機動力、⑤一歩先、⑥提案力、⑦専門性である(図表)。この7つは、顧客アンケートによって集めた不動産流通業者に求められる要素であると同時に、不動産の専門家である自分たちがどのような姿であるべきなのか、社員1人ひとりにアンケートをとった結果の両方を分析して策定されたものだ。その内容は、具体的に何を考えて顧客に接すればよいのか、どのような行動が顧客満足につながるかなど、具体的なケースや行動パターンが紹介された「ブランドブック」として全社員に配布されている。
「お客様と社員、双方にアンケートをとった結果、あがってきた意見は驚くほど似ていました。ブランドブックには、それをわかりやすい形で行動指針に落とし込んでいます。最近では、物件情報そのものは、インターネットの普及や行政の主導によって情報の公開が進んできています。これからは情報を持っていることの優位性で同業他社と争うことは難しくなってきますので、サービスの向上こそがお客様の満足につながるものになると考えています。しかしそれも、お客様の求める水準にとどまっていてはいけない。それを超えるサービスを提供できてこそ、本当に選んでもらえる企業になれるのです」と、人材開発部能力開発課長の柿沼徹也氏は語る。