STRATEGY 自ら学ぶ風土を土台に 経営と現場のニーズに合った次世代リーダーを育成

社員が働きやすい環境にするために、人事制度や施策を日々改善し続けてきた花王。その花王も今、次代に向けて人材戦略の大きな転換期を迎えている。国内市場縮小を背景にした、海外市場の開拓が不可避になり、それを牽引するリーダーの育成が喫緊の課題として浮上してきたのだ。花王が目指すグローバルリーダーとはどんな人材で、どのような育成方法をとっていくのか。経営トップ層が集まり、真剣な議論を展開している最中だという。
海外市場の開拓とリーダー育成が新たな課題
花王の扱う商品は消費者向けの生活必需品が中心であるため、不況の影響は比較的小さい。しかし、原材料価格の高騰など、直接コストに跳ね返るような変化の影響は避けられない。ひと頃に比べて落ち着いてきたとはいえ、いまだ予断を許さない状況だ。近年の世界の潮流の中から、2 つの課題が浮き彫りになってきた。
1 つは市場拡大という課題。少子高齢化を背景に、国内市場そのものがシュリンクしつつあり、生き残り合戦はますます激化している。弊社でも、中国をはじめとするアジア、欧米などで事業を展開してきたが、そこにもっと力を注ぐ必要があるだろう。今後はさらに、新興国を中心とした新たな市場にどうやって切り込んでいくかが大きな課題となっている。
2 つめは、国内ばかりでなく、世界的に見ても消費者ニーズの多様化が進み、動向の変化が激しいことだ。その変化のスピードにどうやってついていくかというのが課題となっている。
こうした新たな課題を解決に導くためには、変化に敏感に対応しつつ、物事の本質を追究していける人材が求められる。特に、それを牽引するリーダーの育成が急務だと感じている。
ある先人は、「ビジネスは、夢に始まり、情熱で大きくなり、責任感で維持される」と言った。創業者は夢で事業を興し、中興の祖が情熱で大きくし、責任感が会社を永続させるというたとえだ。企業が大きく成長するためにはリーダーの“情熱”が大きく影響するが、もはやトップリーダー1 人の力では企業の成長は立ち行かない時代になった。トップリーダーが方向を示し、各現場のリーダーがそれを咀嚼して現場に落とし込むことで、よりベクトルを太くしていく必要性が高まってきたのである。その意味では、トップリーダーの育成はもとより、現場リーダーの育成が不可欠となる。
花王が現場リーダーに求めるのは、ビジョンをしっかり持ち、先を読みながら、周囲の人を巻き込んで目標を達成していくこと。ただし花王にはいろいろなファンクション(機能)があり、それぞれの現場リーダーが果たすべき役割が異なる。たとえば、消費者ニーズを的確につかんで商品開発に結び付けたり、潮の流れの変化を見極めて会社の商品の中に取り込んだりできるリーダー。物事の本質とは何かを見極め、付加価値の高いコア技術を開発し続けるリーダーなど。いずれにしても、目標達成に向けて、情熱をもって方向付けできるリーダーでなければならない。
企業は、20 ~ 30 年のサイクルでS字カーブを描きながら発展すると言われる。花王で言えば、1980 年代から1990 年代にかけて、今の花王を支えているメガブランドが誕生し、そこから急速に成長して今日に至っている。まさに今は、次のS 字カーブに向けて力を蓄える時期。次のリーダーもしっかり仕込んでいかなければならないと考えている。
普遍的なリーダー育成を経営トップ層が議論
