連載 インストラクショナルデザイナーがゆく 第 31 回 消えるハコモノに 足りない評価と戦略
見る、触れる、学ぶ ! ができる「私のしごと館」
関西出張の折、少し足を延ばして、京都府にある「私のしごと館」に立ち寄った。「建設費に581億円、年間20億円の赤字、一体300万円もの人形を展示」などと税金無駄遣いの象徴のように批判された、あの話題のハコモノである。“学びと仕事の環境をデザインし、豊かな人生を演出する”ことをモットーとするインストラクショナルデザイナーとしては、一度はこの目で見ておかなければならない、と前々から気になっていた“世界最大の体験型職業労働博物館”だ。
しかし、「私のしごと館」に行くと言うと、友人たちは口を揃えてこう言った。
「 へえ、あそこ、まだあったんだ!」
確かに昨年末、2010年8月までの廃止が閣議決定されたが、先行きはいまだ不透明。なのに国民の間ではすでに過去の遺物になっている。
……ちょっと不安だ。