重重無尽 楽団員の意思の調和が奏でる 珠玉のハーモニー
クラシック音楽というのは、一種の伝承文化ですから、作品の時代背景をとても大切にします。
たとえば、ベートーベンの作品なら、200年前に書かれた楽譜から得られる情報と、当時がどんな時代で演奏のスタイルはどうであったかという歴史的な裏付けをもとに、ベートーベンが頭の中で考えた“音”を、現代の私たちの身体と楽器を使って再創造し、お客様に聴いていただくわけです。ですから、我々が演奏する時には、こうしたスコア*の解釈を含めてオーケストラが1 つのイメージを共有することが、とても大切になります。
指揮者の役割は、スコアを研究し、明確なビジョンを示しつつ、リーダーとしてオーケストラを1 つの方向にまとめていくこと。そこで大事なのは、指揮者に「こう演奏したい」という考えがあるのと同様に、楽団員もそれぞれが意見を持っているということです。それをリハーサルですり合わせていきます。