連載 人事担当者のための正しいメンタル不全対策 第 11 回 現代型うつ病を生んだ 社会変容とその歪み
先月号の現代型うつ病の事例を読まれて、自分の身の周りにもこうした若者が増えてきたと感じられる方もいらっしゃるかもしれません。今月号では、この現代型うつ病の特徴や、その発生原因について説明していきたいと思います。
従来型と現代型の違い
これまで「うつ病」と聞いてイメージされてきた従来型うつ病と、現代型うつ病の違いを下の図表にまとめました。現代型うつ病とはどういった病理かをより理解するために、その行動特性や、その裏にある心理的な側面について見てみましょう。
従来型うつ病にかかる人には、自責的──何事も自分の責任だと考えてしまいがちな人が多いことは、この連載でも何度もお伝えしてきました。一方、現代型うつ病にかかる人には、自己愛の強い他罰的な人が多く、自分が仕事で失敗しても、 他の人や会社のせいだと考える傾向があります。また、従来型うつ病の場合、「社会人たるものこうあるべき」といった社会的規範に対する頑固さを見せますが、現代型うつ病では対照的に、自分自身が勝手につくり上げた規範に対する頑固さが目立ち、自分のやり方に固執します。また、自分が親から優しくされてきたように、職場でも支援されて当たり前だと考え、上司や同僚からフォローを受けてもあまり感謝の意を表さないため、職場で孤立しがちです。