重重無尽 働く人の想いを代弁する ドラッカーの魅力
ドラッカーの考える人材開発の大原則は“強みを生かす”こと。そして組織づくりの醍醐味は“人の強みを生かし、弱みを意味のないものにできること”だと語っています。“ 弱みを意味のないものにする”とは、どういうことか。たとえば外に出て人と話すのが苦手な社員は、社内で得意なことをすればいいんです。弱みを克服する必要なんかありません。全員が自分の強みを伸ばして、それをフルに活用すれば、最高のチームができる。実にシンプルな話ですよね。
ところがこの当たり前の考えが、今の社会ではまだ常識になっていない。その証拠に、学校では相変わらず“すべての生徒が全教科で80点を取ること”をめざした教育が行われています。
でも、 これは仕方のないことなんです。なぜなら“組織”は人間にとって、とても新しいものだから。大勢の人が集まって一緒に働くようになったのは蒸気機関の発明がきっかけ。それから230年ほどしか経っていません。だから我々人間は、組織で成果を上げる方法についてまだ十分習熟していないのです。