J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2017年02月号

巻頭インタビュー 私の人材教育論 顧客と社員からの声で 会社はよりよいものになっていく

今年で創業70 年を迎えるちふれ化粧品。
高品質・適正価格という方針を貫き、業界における独自のポジションを築いてきた。
ブランド力の基礎には、女性がのびやかに働ける環境づくり、自由に意見の言える風通しのよい風土、社員の自立精神を育む姿勢があるという。
片岡方和社長が抱く、経営と人づくりの信念とは。


片岡方和(Masakazu Kataoka)氏
ちふれ化粧品 代表取締役社長
生年月日:1947年2月20日
出身校:京都大学

主な経歴
1969年 4月 千代田化工建設入社
1995年 9月 ちふれ化粧品 非常勤取締役就任
1997年 6月 非常勤監査役 就任
2008年 6月 専務取締役 就任
2010年 8月 代表取締役社長 就任
現在に至る

企業プロフィール
ちふれ化粧品
1947年創業。島田松雄初代社長が、欧米で化粧品が1ドルで販売されていることに衝撃を受け、1962年に「100円化粧品」を発売。以来、高品質と適正価格を追求し続けている。
「ちふれ」は、同社の理念に賛同する全地婦連(全国地域婦人団体連絡協議会)に由来する名称。
資本金:4億5000万円
売上高:172億7000万円(2016年3月期)
従業員数:約1100 名(アルバイト含む)



インタビュー・文/村上 敬
写真/中山博敬、ちふれ化粧品提供

「真実の瞬間」を担う美容部員

―業績が好調ですね。要因はどこにありますか。

片岡

前期(2016年3月期)は順調で、商品の全体売上個数は年間4200万個に達しました。雨の日も風の日も毎日12 ~ 13万個売れた計算です。背景には、創業以来こだわり続けてきた品質への評価があると考えています。我が社の愛用者室には、毎日お客様から多くの声が届けられます。中には「ここをこう直したらいいのでは」という厳しいお声もいただきます。

当社では以前より、そうしたご指摘やご要望について毎月、問題点を洗い出して解決策を検討し、取締役や執行役員、関係部署の責任者と共に議論してきました。長きにわたるこうした取り組みで品質向上に努めてきたからこそ、当社の化粧品が、「品質がよいのに手が届きやすい価格だ」という評価を生み、売上好調につながっていると受け止めています。

―事業上の課題と、それを解決するための人事面の施策を教えてください。

片岡

まず販売が好調のため、生産体制の充実、安定供給が喫緊の課題です。品質を維持しながら進めていかなければいけないので、現状よりももっと工場に多くの人材を割かなければいけないと考えています。

商品面では、カウンセリングブランド「綾花」の強化です。現在、リブランディングプロジェクトの中で、商品・売場・販促・美容部員・広告など多面的に検討をしています。特に、カウンセリングの質と量を充実させるために人材面で鍵を握るのは美容部員です。

品質にこだわり抜いてつくられた商品は、最後は美容部員の手によってお客様の元に届きます。マーケティングでは、お客様と接するわずかな時間が、その会社や商品の印象を決定づけるといわれています。スカンジナビア航空の元CEOヤン・カールソン氏はそれを「真実の瞬間」と表現しましたが、我が社ではその瞬間を担っているのが美容部員なのです。

美容部員の教育は従来から重視していますが、今後はさらに力を入れる必要があります。また、仕事に対するモチベーションや会社に対するロイヤルティーを上げてもらうために、段階的な正社員化も視野に入れています。

うそのない事業活動

―直近の事業戦略について伺いましたが、背景にある理念についても教えてください。

片岡

まず、一番大事な経営理念(ちふれ宣言)として以下を掲げています。

「私たちは、正義感と誇りをもって、うそのない事業活動を行い、世界中の人々と共に、心ゆたかに生きられる社会・文化の創造をめざします」

「うそのない事業活動」というのは、具体的には高い品質と、それに見合った適正な価格を指します。私たちは創業以来、よいものを、誰もが手に入れやすい価格で提供することを大事にしてきました。適正価格というと「とにかく安く」と思われるかもしれませんが、そうではありません。お客様にも、私たち側にも適正である必要があります。その意味で、私たちは当社の商品を決して安いと思っていません。従業員が十分生活できるだけの利潤は得ています。

そして「心ゆたかに生きられる社会・文化の創造」に関連して、かねてから大切にしているのが、環境への配慮です。例えば四代目社長で現名誉会長の島田雄二が専務だった1974 年、今では当たり前になった詰め替え化粧品を業界で初めて発売しました。その後、1981年、フロンガスを使わないスプレーポンプのヘアスプレーを商品化。最近もバイオ樹脂の容器を採用するなど、一貫して地球環境に優しい事業を展開しています。

女性を区別せず“応援”する

―社内外の女性の支援にも、積極的に取り組んでおられます。

片岡

我が社の一番のお客様は女性であり、社員も7割は女性ということもありますが、女性たちにもっと活躍してもらわないと、おそらく将来、日本が立ち行かなくなるでしょう。

当社では、先の経営理念の下に「基本理念」を定めていますが、女性を応援することは、その基本理念にある「人として共感しあえる価値を求め、世界中の人々が様々な形で参加できる事業を開発」することや、「社員一人ひとりが個性と能力を発揮し、公正に評価され、幸せを実感できる社風を開発」することにつながるのです。

ただ現在、社内では、管理職約72名のうち女性は13名。取締役も8名のうち女性は1名だけで、女性が多い職場にしては少ない。今後、増やしていかなければと思っています。

なお、美容部員は別にして、管理職や幹部向け研修に男性と女性の区別はつけていません。それよりも大切なのは、何か支障があればその原因をなるべく排し、女性が研修に参加できる環境をきちんと整えることでしょう。

研修参加だけではなく、働きやすい環境という点では、時間的制約を緩和すべく、2013年に育児短時間勤務制度の適用期間を延長し、「小学校3年生を修了するまで」としました。また、時短勤務は30分単位で個別に設定できるようにしています。

育児休暇については、2015年度は31人の女性社員が取得しており、希望者全員が職場復帰しています。子育ては女性だけのものではないので、今後は男性社員の育休取得も進めたいと考えています。

多様な人材が協力し合う組織

―女性活躍支援は社会的なテーマです。そもそも働く女性を支援することには、どのような重要性があるとお考えですか。

片岡

よく冗談で言うのですが、男性と女性のどちらが優秀かは、夫婦喧嘩を見れば分かります。大体の家庭で妻が勝つ(笑)。もちろん女性のほうが優れているところもあれば、その逆もある。男性と女性では発想が違いますから、それぞれがいいところを出し合って仕事ができれば、大きなことを成し遂げられるのではないかと思います。

性別に限りません。企業には多様な人材が必要です。優秀な人ばかりでなくていい。それぞれ異なった発想、異なった能力、異なった行動をする人が集まって、自分の適性に合ったことをやれれば、それが一番です。考えることが好きな人には研究職に就いてもらえばいいし、人と話すのが好きな人には営業で活躍してもらえばいいのです。

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