J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2017年01月号

社労士が斬る イマドキお悩み相談 第22回 在宅勤務導入で、気をつけることは?

働く人の価値観の多様化から「働き方」も変化し、現場の管理職の悩みも“イマドキ”なものになってきています。
そんなイマドキな悩みの解決方法を、社労士の藤原先生が紹介します。


藤原英理(ふじわら えり)氏
あおば社会保険労務士法人代表。東京大学大学院修了後、大手製薬会社で研究職に従事。93 ~97年米国在住。帰国後、2000年大手証券会社に入社。社会保険労務士、CFPの資格取得。03年に独立、04年から現職。

[文] = 柳本友幸 [イラスト] = 秋葉 あきこ

第22回 在宅勤務導入で、気をつけることは?

育児を理由に、退職をしたり時短勤務をする女性社員が少なくない。そこで戦力ダウンを防ぐため、また、彼女たちの業務の生産性を上げるため、在宅勤務制度の導入を検討している。とはいえ、勤務時間管理や情報セキュリティーの問題など気になるポイントもある。どう進めればいいだろうか。

非効率になるケースも

在宅勤務、いわゆるテレワークは、少子高齢化が進む日本において、国が強く推進している施策の1つであり、企業にとっても、働き手の不足を補うために取り組むべき働き方です。しかしながら、在宅勤務であっても職場で働いているのと同様に、就業時間の管理や職場の安全配慮といった雇用者の義務がありますので、その導入は慎重に行うべきでしょう。

特に、育児や介護といった日中の家事の負担を抱えながら働く女性のケースは、就業環境の整備や時間管理が難しくなりがちです。

「在宅勤務の推進のための実証実験モデル事業(日本テレワーク協会、2006年)」では、在宅勤務に移行することで、男性は勤務時間が短くなったのに対し、女性は勤務時間が伸びてしまったという結果が出ています。また、この調査では、約半数の対象者が在宅で仕事をする場所としてリビングルームやダイニングルームを挙げており、約2割の対象者から「自宅で勤務する際、家族が話しかけてきたり家事を頼んでくる」「生活雑音が仕事の邪魔になる」といった意見が出ています。業務に集中しにくい環境で細切れに仕事をせざるを得ず、結果として非効率になるケースもあるということです。

雇用者側の義務は?

在宅勤務で働く人に対する雇用者の義務は、法的なもので「労働時間把握義務」「安全配慮義務」があります。また、業務的に考えて必須なものとして「情報漏洩等のリスクへの対応」「指揮命令・評価」があります。

まず、労働時間把握義務としては、始業時刻・休憩時間・終業時刻・残業時間を正確に把握し、法定範囲に収める必要があります。これは、パソコンのログイン・ログアウトで時間を管理する、着席状態がリアルタイムで把握できるようにするなど、システム的に対応している例が多いようです。

安全配慮義務としては、パソコンを利用する作業であれば、「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン(平成14 年 厚生労働省)」などに準拠し、メンタルヘルスに留意する他、長時間の作業で疲弊しない環境をつくる必要があります。例えば、在宅での勤務環境の見取り図を提出させ、必要であれば机・椅子・照明などの環境整備に補助金を出している企業もあります。

情報漏洩対策としては、在宅で勤務するパソコンにデータが残らないシンクライアントなどのソリューションが多数提供されています。

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