J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2016年11月号

CASE 2 日本ユニシス 多様な働き方・学び方へ 反転学習、サイバーメンタリングなど “デジタル”で人財育成を進化

ITサービス企業の日本ユニシスは、自社の人財育成においても、デジタルツールを積極活用している。
新規事業の創出プログラムにおいて、事前学習や個別指導をオンラインで実施するほか、オンライン通話を用いたワークショップ、自己学習用eラーニング教材の提供なども行い、働き方・学び方の改革にもつなげようとしている。


宮本文宏氏 組織開発部 人財イノベーション室 室長

日本ユニシス
1958 年設立。金融、製造、流通、エネルギー、社会公共などの幅広い分野に対してサービスを提供するITサービスプロバイダー。ICTで培った経験と実績をバックボーンに企業課題に向き合い、顧客・パートナーと共に未来を先回りした価値創造に取り組んでいる。
資本金:54億8317万円、連結売上高:2780億3900万円(2016年3月期)、連結従業員数:8103名(2016年3月31日現在)
[取材・文]=崎原 誠  [写真]=編集部

● 人財育成の全体像 組織風土・働き方変革も重視

日本ユニシスは、中期3カ年計画(2015 ~ 2017年度)で「デジタルイノベーション」「ライフイノベーション」「ビジネスICTプラットフォーム」の3点を成長戦略として掲げ、それを支える組織風土の醸成に取り組んでいる。2016年度には、新たに組織開発部を設置。人財育成の強化、働き方改革、風土変革を一体化して行う体制を整えた。

「人の育成だけでなく、組織や働き方全体を複眼的に見て改革を進めます。これまで以上にイノベーションが生まれる組織をめざしており、人財育成におけるデジタルツールの活用も、組織風土・働き方変革の一環と捉えています」(宮本氏、以下同)人財育成は、「日本ユニシスCDP(Career Development Program)」という人財ポートフォリオとキャリアパスの下、計画的に行われている。

「持続的競争優位を確立するための“組織能力”を高めることを重視しています。研修を行うだけではなく、採用、制度、OJT、ローテーションなどを総合的に組み合わせて効果的に育成していく方針です。専門ごとに人財像を定め、基礎から習熟、確立、深掘り・拡大へとステップを踏んで育成します」

● Principalプログラム 新規事業を起こせる人財を育成

育成体系は図1だ。階層別、専門分野別プログラムの他、イノベーションを起こす人財に焦点を当てた「変革リーダーシッププログラム」が目を引く。

今回注目したいのは、その変革リーダーシッププログラムの中の「Principalプログラム」(図2)である。新規事業を自力で創出できる人財の育成をめざし、平岡昭良社長が専務時代の2011年に私塾として開始。2014年に、正規の研修プログラムとした。

当初は参加者が自由にやりたいことを語り合い、ビジネスにつなげていく場だったが、新プログラムでは、まず前期(5 ~ 8月半ば)に「事業構想力強化」研修を実施。そのうえで、後期(9 ~12月)には、実際の事業案件を題材に、事業化に向けた調査・分析、企画策定を通してアントレプレナーシップを学ぶ「ビジネス創出ワークショップ」を開催する。

「いきなり新規事業を生み出すのは難しいため、段階を踏んだプログラムにしました。前期に、ケーススタディによってビジネスの勘所を学ばせます。他業界の実在の企業をリサーチし、その会社の課題と対応策を経営者目線で分析してプレゼンしてもらうのです」

■サイバーメンタリング―集合クラスと並行し、メールで個別指導

大きな特徴は、外部コンサルタントや事業経験者をメンターとして、ロールプレイや事業分析、新規事業の構想立案をすること。特に事業構想力強化研修では、週1回・2 時間の集合クラスと並行し各受講生がメンターとメールを介して個別に指導を受ける「サイバーメンタリング(サイバークラス)」を行う。

「集合クラスでは、互いに発表をして意見を述べ合ったり、メンターから着眼点を示唆されたりします。ただ、事業をつくるうえでは、一人ひとりの思いが重要ですので、サイバーメンタリングも行っています。各人がメンターに自分の案をメールで提出し、メンターが『こういう場合はどうか?』などとさまざまな角度で質問やコメントを返し、それにまた本人が返信するというやりとりをしながら必要なことを教えていく“個別学習塾”のような施策です」

サイバーメンタリングにより、オンラインでも一人ひとりの知識や理解度合い、姿勢などに合わせた綿密な指導が可能になる。受講生にとっては、自分の案や考えを細かく精査され、質問やコメントに答えながら深めていかなくてはならないため、負荷は大きい。

「受講生のモチベーションは高いのですが、業務の繁忙などでやむを得ず集合クラスを欠席すると、ついていくのが難しくなります。そこで事務局も、サイバーメンタリングのやりとりを見て状況を受講生の上司にフィードバックし、育成の促進を支援しています」

■BBO―オンライン教材による反転学習で知識レベルを合わせる

今年度からは受講の前提として、オンライン教材「BBO(Business Basic Online)」による学習を義務づけた(図3)。

「以前は、受講生によって知識や経験に差があり、視点がまちまちである点が問題でした。そこで、集合クラスやサイバーメンタリングの前に、ビジネスの原理原則をBBOで学んでもらうことにしました。いわゆる“反転学習”です。理解度に合わせて繰り返し学習でき、煮詰まった時に振り返って学び直すことができる点も大きなメリットです」

BBOの内容はイントラネットで公開されており、社員であれば誰でもアクセスできる。導入編、入門編、初級編、中級編、上級編の5つのセッションからなり、各セッションの中に、「バリューチェーンとは」「ビジネスモデルとは」といった複数のテーマがある。

「コンテンツは外部コンサルタントと共同で作成しました。細切れで学べるように、1テーマ5 分程度、1セッション30分程度で視聴できるようにしています。スマホでも見られるので、時間や場所を選ばずに学習できます」

■本の要約提供サービス―知識の幅を広げる支援

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