J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2016年04月号

おわりに 一貫した企業ビジョンとキャリアへの道筋が 若者の“チャレンジ精神”を生む

求めているのは“安心感”

現代の若者は、やる気がない。何を考えているのか分からない―職場の上司や先輩たちからは、そんな愚痴が聞こえてくる。しかし、今回取材を進めると、決してそんなことはない、まじめで志の高い若者の実態が見えてくる。ただ、成長が期待できない“そこそこ時代”とSNS等の進展に伴う情報化社会が、彼らを慎重に、臆病にしているだけなのだ。

時代の変化と共に、若者の価値観も大きく変わっている。もはや昇進・昇給といった一律の施策で彼らのモチベーションを上げることはできない。そのため、企業も組織も、上司や先輩も、若手社員の意欲を引き出す工夫をしなければならないのである。

JTBモチベーションズの菊入みゆき氏、大内亮氏(OPINION1、26ページ)はそのカギとなるのは「人間関係」だと話す。特に職場の上司との関係は重要で、「上司がいつも見ていてくれる」という安心感が、若手社員のやる気につながるという。

自分のロールモデルとなる上司や先輩の存在も意味を持つ。自分の目標までの道筋が明らかになることで、安心して現在の仕事に取り組むことができるからだ。本来「モチベーション」というのは、未来志向の概念なのである。

さらに、会社が向かう方向性やビジョンも明確にする必要がある。現代の若者は社会貢献への関心が高く、「誰かの役に立ちたい」という気持ちも強い。しかし、現実は目の前の仕事に追われるばかりで、自分の存在価値が分からなくなり、やる気が削がれるケースがあるからだ。

その社会貢献を会社の大きな軸とし、「人の役に立っている」という実感を本業への意欲につなげているのが、大里綜合管理である(CASE2、42ページ)。「社員の成長を通して、お客様はもちろん、地域の人も社員もその家族も、みんなが豊かに幸せになる会社にしたい」(代表取締役の野老氏)というビジョンも明確でブレがない。

「やる気のダウン」を防ぐ

若手社員がどのように組織の文化や価値観を受容し、適応していくのかという「組織社会化」の研究を進める学習院大学教授の竹内倫和氏(OPINION2、30ページ)も、ビジョンの共有の重要性を説いている。

さらに竹内氏は、入社後、若手社員の仕事に対する意欲や会社への帰属意識が低下していく傾向は、従来から変わらないことを明らかにした。そのため、モチベーションを上げようとするのではなく、「ダウンを防ぐこと」に注力すべきだという。モチベーションが下がる理由には、現在の仕事や将来に対する「不確実性」や「不安」があると訴え、人事・人材開発部門は、①研修を通じた不確実性の除去、②本人の意思を尊重した配属、キャリアラダー(キャリアアップの道筋など)の提示、③上司や同僚、メンターへの教育を行う必要があると指摘した。

このような施策を確実に行っているのが、JTBグループである(CASE1、38ページ)。同社では、若手社員のモチベーションダウンに備え、3年目と6年目にキャリアアップ研修を行っている。将来のキャリアについて考えるだけでなく、互いの近況を語り合いながら、入社時の夢や目標に想いをめぐらせることも、モチベーションの維持に一役買っている。

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