J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2016年03月号

組織と個人の問題に効く! 心理学ミニゼミナール 第6回 社会的怠惰(ソーシャル・ローフィング)

心理学の理論は、人事・人材開発の仕事にとって重要な手がかりです。
そこで、“使える”知見を、心理学ジャーナリストの佐々木正悟氏が解説します。

佐々木 正悟 (ささき しょうご) 氏 心理学ジャーナリスト
1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに勤務。2001年以降アヴィラ大学心理学科、ネバダ州立大学リノ校実験心理科博士課程で心理学を学び、2005年に帰国、現在に至る。近著は『すぐやる人に変わる 心理学フレームワーク』(実業之日本社)。

第6回社会的怠惰(ソーシャル・ローフィング)

2枚のピザ

米AmazonのCEOジェフ・ベゾス氏はある時、「2枚のピザ理論」という面白いたとえ話を用いて、プロジェクトに最適なチーム人数を、シンプルに示そうとしました。

お腹を空かせたチームで、ピザを注文するとします。この時、「2枚」注文し、全く不満が出なかったとしたら、それは何名くらいのチームでしょうか。その答えが、プロジェクトに参加させるべき人数だというのです。

大人を2枚のLサイズのピザでまかなうとすれば、大体5人から8人くらいといったところでしょう。Amazonほどの大企業にしては、この人数は多くはなさそうです。しかしベゾス氏は、これ以上になると、チームワークが破綻する可能性が増えていくと言うのです。

誰もサボらない人数?

心理学に、これを裏づける理論があります。

集団で協同作業を行う時、一人ひとりが作業において努力する量は、人数が増えるほど低下するという社会心理学の研究があるのです。このことは「社会的怠惰(社会的手抜き、ソーシャル・ローフィング)」と呼ばれています。

小学校の頃など、班ごとに行う行動を他人任せにしてサボろうとする人がいたでしょう。そういうことは大人でも起こるわけです。

そして、社会的怠惰は、人数がそれほど多くなくても、集まっている人が「このチームは大人数だ」と思うだけで発生します。ビブ・ラタネという米社会心理学者が、個人に単独で作業させておきながら、「みんなと一緒に作業している」と思わせるだけで個人の努力量が下がることを実験で明らかにしているのです。しかも、一緒に作業していると思う人数が多ければ多いほど、努力量は下がります。

つまり、チームの生産性を高めたい場合、ただ人数を減らすだけではダメで、「人員が減ったチームの中に居る」ということをメンバー全員に認識させる必要があるということです。そうでないとメンバーはやる気を出してくれないでしょう。

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