J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2015年08月号

CASE 1 資生堂 誰もがキャリアパスを描ける仕組みに 「女性に優しい企業」から 「もっと、ずっと活躍できる企業」へ

女性リーダー比率30%が目前に迫る資生堂。
女性活躍に関する各種のアワードを受賞するなど、先進的な取り組みは注目の的だ。
すでに「育児をしながら仕事が継続できる」というステージは終わり、「男女ともにキャリアアップ」をめざす第3のステージを迎えているという。
同社が進める新たな風土づくりとは。

青山幸敏 氏 人事部 社員サポート室 イコールパートナーシップ推進グループリーダー
資生堂
日本初の洋風調剤薬局として1872年に東京・銀座に創業したのが始まり。化粧品事業に進出して以降、美を通じて、常に新たな価値を提供し続けている。現在は多くのブランドを展開し、世界中で支持されている。
企業メッセージは「一瞬も 一生も 美しく」。
資本金:645億円(2015年3月現在)、連結売上高:7777億円( 2015年3月期)、従業員数:約4万5948名(臨時従業員数含む 2015年3月31日現在)
[取材・文]=竹林篤実 [写真]=ブラザー工業提供、編集部

● 企業風土 「女性活躍」から「男女ともに」へ

『日経ウーマン』(日経BP社)と日経ウーマノミクス・プロジェクトが実施する、「女性が活躍する会社 ベスト100」で、2 年連続で総合1位を獲得した資生堂。内閣府が主催する「第1回女性が輝く先進企業表彰」を受けるなど、女性活躍の取り組みで注目を集め続けている。

2015年4月時点での同社の女性リーダー比率は27%を超え、2016年度中には30%を達成する可能性が高いという。女性社員が約83%(国内資生堂グループ)と高い割合を占めているとはいえ、特筆に値する数字と言えるだろう。

人事部 社員サポート室 イコールパートナーシップ推進グループリーダーの青山幸敏氏は、次のように語る。

「化粧品を買ってくださるお客さまはほとんどが女性。だからこそ、女性社員が、その能力を発揮し、活躍することは会社の成長に不可欠だと考えています」

女性活躍で一歩先を行く同社だが、女性のみに焦点を当てる段階はもはや越え、「男女ともにキャリアアップできる企業・職場」をめざしている。男性だけでなく、女性もまた中長期的な成長を見据え、キャリアパスを描ける企業風土が根づいてきた。

その結果、ロールモデルも増えてきている。

「『あの人のようになりたい』と後進が憧れるような、多様なキャリアを持つロールモデルが多数存在しています。このため、男女ともにゴールとしてめざす姿が描きやすくなっています」

特に近年は、若手を中心に、将来のキャリアに対する意識の高い女性社員も目立つという。

● 変遷 就業継続からキャリアアップへ

しかし、このような風土は一朝一夕に生まれたものではない。かつては、出産や育児を理由に会社を去る女性も少なくなかったという(図1)。

そこで同社では、この段階を第1ステージとし、3つのステージを設けて女性活躍を推進してきた。1990年以降の第2ステージでは「女性は育児をしながら仕事を継続できる」をテーマに、育児休業制度や育児時間制度(編集部注:短時間勤務制度と同様の制度)、事業所内保育所の開設など、仕事と家庭の両立を支援する数々の施策を導入し続けてきた。

2005年からの第3ステージでは、「男女ともに育児・介護などをしながら、しっかりキャリアアップ」することを目標とした。具体的には、「男女共同参画行動計画」を策定。男女問わず一人ひとりの能力を最大限に引き出すべく、人材育成の強化と生産性向上に向けた働き方の見直しを進めている。こうして、男女ともにキャリアアップをめざす風土が徐々に浸透してきたという。

「近年は、最大3 年間取得できる育児休業を、1年程度にして早々に復帰する社員も増えてきました」

一方、問題も生じ始めた。女性活躍やダイバーシティ実現に向けた手厚い諸制度により、「働きやすさへの甘え」という課題が生まれてきたのである。

● 具体策1 育児時間利用BCの働き方見直し

同社には、子どもが小学校3 年生まで1日最大2時間、勤務時間を短縮できる育児時間制度がある。利用対象者には、全国に1万人ほどいるビューティーコンサルタント(店頭でお客さまの応対活動に従事する美容職社員、以下BC)も含まれる。

もともとBCは、同僚への気兼ねから、出産・育児などのライフイベントで離職するケースが少なくなかった。そこで2007年、育児時間を取得するBCの短縮時間分をカバーする「カンガルースタッフ」と呼ばれる代替要員を配置することにした。短時間勤務のBCが継続就業できるよう、支援することが目的だったという。

ところがその結果、育児時間を取得するBCが大幅に増加、2011年度には1000人を超えた(図2)。そのため、カンガルースタッフはいるものの、通常勤務のBCたちが大きな負担を抱えることになったのである。

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