J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2013年01月号

JMAM 通信教育優秀企業賞 表彰企業事例報告 日本信号 安全を守る専門性と人間性を主体的に学べる機会で育む

鉄道や道路の信号システムで知られる日本信号。
“交通の安全を守る”という理念を実現するため、同社が求めるのは、高い専門性と人間性を兼ね備えた人材だ。
このような人材を育てるために、同社では、自己啓発や昇格時の教育に通信教育を導入し、主体的に学ぶ風土づくりに力を入れている。

東 義則 執行役員 人事部長
加藤雅一 人事部 自啓塾 塾長

日本信号株式会社
1928年設立。「安全と信頼」に関する卓越したテクノロジーを駆使し、鉄道の分野ではATC(自動列車制御装置)、道路交通の分野では交通信号制御システムなどを開発・販売している。
資本金:68億4,600万円、売上高:845億300万円、従業員数:連結2,955名、単体1,243名(2012年3月現在)

取材・文/赤堀たか子 写真/日本信号提供、本誌編集部

めざす人材像は安全を守る専門性と人間性

日本の都市では数分おきに電車が運行されることが当たり前になっている。世界でも稀な日本の過密ダイヤを支えているのは、日本信号が開発・製造する運行制御システムだ。

日本信号は、1928年、鉄道の電気信号、機械信号、分岐器の保安装置製造を目的に、三村工場、塩田工場、鉄道信号株式会社が統合して設立された。以来、鉄道向け信号システムを中心に、道路信号や駐車場管理システム、空港の出入国ゲートなど、鉄路・道路・空路の3分野で事業を展開している。

同社が最も重視しているのが “安全”だ。東義則 執行役員人事部長は次のように語っている。「顧客である鉄道事業者から求められるのは、やはり第一に“安全”です。実際に、弊社の設計部門が採用している『フェールセーフ』という考え方もそうです。機器のどこにどんな故障が起きても、安全側(列車でいえば停止)の動作しかしないようにする技術です。さらに、第二、第三の制御を働かせ、決して事故には結びつけないようにしています」

安全を担保する専門技術、安全の大切さを理解できる豊かな人間性・コミュニケーション――日本信号は2つの要素を兼ね備えた人材を育てようとしてきた(図表1)。

その際、特に重要とされているのが、自ら主体的に学び、考えるということだ。この精神は、能力開発部門(研修施設)の名称「自啓塾」にも現れている。

自ら学ぶ人を育てる「自啓塾」「自啓塾」は、当時社長だった西村和義会長による命名で、2007年に設立された。松下村塾が社会変革に挑んだ志士たちを育てたように、率先して自らを啓発する人材を育成することをめざしている。加藤雅一塾長は、次のように語る。「各事業所での教育は、どうしても技術教育に偏りがちです。専門性だけでなく責任感や人間性を育むために、会社全体の教育をリードする部署が不可欠だったのです」

現在、自啓塾はもともと工場のあった与野市(現さいたま市)に4教室体制で運営されており、部署の違う社員同士が思っていることをぶつけ合える場になっている。「研修のカリキュラムの中で参加者同士のディスカッションの時間を多くつくるようにしています。そのせいか、社内の課題を提起する場にもなっています」(加藤氏)

また独自で研修施設を持っているメリットとして、加藤氏は他にも感じているところがあるという。「自啓塾ができる以前は、単発の社外セミナーに社員を派遣することがほとんどでした。社外セミナーの場合、異業種交流などを通じた新たな気づきが得られるという良さがあります。その反面、学びがその場限りで終わってしまうことが多く、定着という点で課題がありました。人間性のようなテーマの場合は、“しつこく、しつこく教える”ことでしか育むことは難しいものです。自啓塾があることで連続したテーマの研修を組むことができる点はメリットですね」(加藤氏)

環境意識の高まりに合わせ社員の半分がeco検定取得

自啓塾は研修やeラーニングなど多くの学習メニューを用意しているが、通信教育が160講座と最もメニューが多い。技術士や電気施工管理士といった、業務に直接関係するものだけでなく、「新聞の読み方」、「心理学」、「見える化」など、テーマは多彩だ。

通信教育全体の受講者数は600名(2011年度)ほどで、増加傾向にある。また、通信教育を修了した人は受講者の70%程度であり、そのうち約7割が受講費の全額補助を受けられる優秀修了者だという。特に、技術部門の人たちが積極的な学習姿勢を見せている。「忙しい仕事の合間を縫って、毎年コンスタントに受講している人が技術職には多いですね。中には、通信教育で受験対策の勉強をし、毎年のように、新しい国家資格を取得している人もいます」(東氏)

一方、テーマによっては、あえて会社から積極的な受講を働きかけたケースもあった。eco検定の受験は、その代表例だ。「社会の環境意識の高まりによって、当社も省エネなど環境問題への取り組みが求められています。長期経営計画に環境視点が盛り込まれたほどで、まず環境についての知識を増やそうと、事業所を挙げてeco検定に取り組むことにしました。その時私は事業所にいたのですが、通信教育の中にeco検定の受験対策コースを見つけたのを覚えています」(東氏)

こうした取り組みによって、eco検定の受験準備コースは近年、最も受講者数が多いコースになった。検定の合格者数もすでに632名に達しており、全社員の半数を占めるまでになっている。同社では、今後、年度ごとに目標を引き上げていき、2014年度には全社員の80%まで合格者数を増やしたいとしている。

会社独自の社内教本で現場のOJTを支援

通信教育に加え、自啓塾では『社内教本』による自主的な学習の促進にも努めている。

現在は52講座が用意されているが、社内教本の活用で、職場教育(OJT)の効果が以前より上がっているという。「以前の技能教育は、OJTと技術部門が集まる勉強会が中心でしたが、ある時、社員から『自分のペースで学びたい』という声があったため、独自の技術的ノウハウを教本にし、学習ツールとして用意するようにしたのです」(加藤氏)「列車検知」「ATSとATC」など同社独自の知識や技術が数多くテキスト化され、社員はイントラネット上のテキストを印刷し、自主学習に活かしている。

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