J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2011年01月号

インドで実践する心身を養う 日本的技能教育 「トヨタ工業技術学校」の人づくり

インド南部、郊外の都市に、モノづくりの技能教育を行う職業訓練校、「トヨタ工業技術学校」がある。
経済的余裕がない学生に対し、無償で技能教育の機会を提供。その教育方針は、日本での人材育成をベースにしたものだ。
海外で「日本的人づくり」はどのように機能するのか。同校の実態から見てみたい。

取材・文/石原 野恵、写真/トヨタ自動車提供

現地での事業展開は地域貢献がカギ

2007年8月、トヨタ自動車(以下、トヨタ)のインド現地法人であるトヨタ・キルロスカ・モーター(以下、TKM)が、「トヨタ工業技術学校」を開校した。インドの南部、カルナータカ州バンガロールに位置する同校は、トヨタが初めて海外に開校した職業訓練校である。

同校設立の背景には、第一に、インド地域社会への貢献という目的がある。現地にその事業体を浸透させるには、地域に貢献すべきというのが同社の考え。特にインドでは、能力があるにもかかわらず、家庭の経済状況が理由で進学が難しい10代が少なくない。こうしたインドの若者に、教育の機会を与えることが同校の大きな目的である。そのため同校では、TKMがある地域の中学校卒業生を対象として入学者を募集。入学金や授業料、寮費はすべてTKMが補助し、手当も支給される。

卒業後はTKMの採用試験を受けることができるが、必ずしも同社に入社しなくてもよいという。TKMに限らず、インドの製造業全体を担う人材の育成をめざしているためだ。

トヨタではかねてから、海外展開において現地での人材雇用・育成にこだわってきた。

同社の広報部によると、同社では、ある一拠点で大量生産し輸出するのではなく、“需要のある場所で生産する”という方針を設けているという。その方針の下、世界中どの拠点においても、トヨタとしての品質を維持することを重視しているのだ。

改善などのトヨタ式から社会人の基礎まで

トヨタ工業技術学校の履修期間は3年間。学習内容としては、「心身教育」「学科教育」「技能研修」「現場実習」の4分野でカリキュラムが組まれている(図表)。

特徴的なのが「心身教育」である。カリキュラム全体の2割強を占め、身体と心、両方を養う時間としている。図表のグループアクティビティとは、チームワークを醸成するための活動の総称。体育や野外訓練の他、畑作業や清掃も行う。チームワークの精神を醸成するために、学校生活のあらゆる場面でグループを意識させるようにしているという。

また、実習ではトヨタならではの「改善活動」も実践。たとえば、校内の設備の問題点を洗い出し、対策を練ることも改善活動の1つ。トイレの水を節約するにはどのような手順で使い、チェックすればよいのかを考え、フローを標準化したり、机や椅子が必要になった時には、自分たちの手で作り上げるなどの、日常の学校生活と結びついた改善活動だ。

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