J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2010年10月号

インストラクショナルデザイナーがゆく 第41回 ビジネスリーダーはMANZAIを学習せよ!

寺田 佳子(てらだ・よしこ)氏
ジェイ・キャスト常務取締役、IDコンサルティング代表取締役、日本イーラーニングコンソーシアム執行役員、eLP(eラーニングプロフェッショナル)研修委員会委員長、JICA情報通信技術分野課題支援委員、JICA─NET Instructional Design Seminar講師、ASTD(米国人材開発機構)会員。
著書に『IT時代の教育プロ養成戦略』(共著、東信堂)など。
http://instructionaldesign.blog97.fc2.com/

モチベーション3.0時代のビジネス・コミュニケーション法

シカゴで開催されたASTD(米国人材開発機構)から戻ってひと月、寝ても覚めても忘れられないことがあった。7月号でもチラリとご紹介した「セカンド・シティ・コミュニケーションズ」(SCC)の即興コミュニケーションのワークショップである。

SCCはシカゴにベースを置く人気コメディ劇団セカンド・シティのトレーニング部門。コメディ劇団に「Learning&Development」を掲げる部門があることがまず驚きだが、SCCのディレクター、サラ・フィンチが提供する「Better Business Communication」トレーニングは、全米約400社が採用する人気プログラムと聞いてさらにビックリ。ASTDでもワークショップの他に、フィナーレを飾るゼネラルセッションでも実演があり、スタンディングオベーションが鳴り響く盛り上がりを見せたのである。とにかく面白い!

おかしい!

そしてピリッと風刺の効いたセリフがカッコイイ!……あぁ、この感動を誰かと分かち合いたい!

米国企業のリーダーやシニアマネジャー、ベテラントレーナーたちが嬉々として取り組み、太鼓腹を揺すって大笑いするそのワークショップを、日本の人材育成担当者相手にやってみたらどうだろう?やはりノリノリになるのだろうか?それとも……。……あぁ、見てみたい、日本人の反応を!

思いついたら止まらない性分ゆえ、早速ビッグサイトで開催する夏のeラーニング・カンファレンスの講演でやりますと主催者に宣言し、ハタと困った。

いったい誰が日本版SCCを演じられるのだろう?SCCの提供するプログラムは即興演劇(インプロ)がベース。客席からのリクエストに瞬時に反応し、それを上手に受け入れ、発展させて、新鮮なストーリーを紡いでいく。こうしたインプロの方法論は、英国人の演出家・キース・ジョンストンなどによってゲームやアクティビティの形で紹介され、創造性育成ツールとしても注目されたが、SCCが斬新なのは、ソーシャル・ラーニング時代のビジネス・リーダーのコア・スキルとして活用している点だ。

TwitterやFacebookなどのソーシャル・メディアの普及で、スピーディな情報交換による学びが可能になった。うまく活用すれば、ビジネス・コミュニケーションのスピードは格段に上がり、トップが社員や顧客のアイデアをダイレクトに吸い上げ、すぐにマネジメントに活かすこともできるのだが、ネックとなるのがマネジャーのアジリティ(俊敏性)のレベル。コミュニケーションのスピードと、Many to Many(多数対多数)の情報のやり取りを快感だと思う感性がなければ、新しいシステムを導入したところで効果はない。このアジリティと、「面白そうだ!やってみたい!」という好奇心から物事にポジティブに取り組むモチベーション3.0、そしてユーモアのセンスの三位一体を、笑いながら開発できるのがSCCの魅力なのである。

しかし、これを日本に紹介するには、米国のコメディに匹敵する日本の芸がなければ……。悩むこと数日、悶える私の脳に一筋の光が射したのである。……あぁ、日本にはMANZAIがあるじゃないの!

MANZAIがMade in JapanのHRDツールになった日

SCCのような都会的センスとアカデミックな香り、そしてちょっと大人の毒もある、そんな漫才師さんに演じてもらえたら、もしかしたらSCCを超えるトレーニングが実現できるかもしれない。そうだわ、あの有名な“オフィス北野”に頼めないかしら!

思い立ったが吉日、あえて「手紙を書く」というクラシックな手法を採用して、ドキドキ返事を待つこと1週間。無謀とも思える私の提案に、漫才コンビ『米粒写経』のマネジャー赤井田さんから、「大学で教鞭をとっていて、人材育成に興味を持っている漫才師がいるのですが……」という嬉しい電話が。それが本邦初のSCC風漫才プロジェクトに取り組んでくださったサンキュータツオさんとの出会いだったのである。

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