J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2015年01月号

JMAM 通信教育優秀企業賞 表彰企業事例報告 尾家産業 学ぶ組織が社員を育てる人事制度に通信教育を活用

業務用食料品卸からスタートし、外食産業の縁の下の力持ちとして約70年の歴史を持つ尾家産業。
同社は、人材育成の主力として通信教育を据えており階層と職種に応じて学ぶべき項目を定めている。
自主性を引き出し、全社一丸となって学ぶ組織づくりに励む同社の取り組みを、尾家啓二社長と人事総務部長の小林治仁氏に伺った。

尾家啓二 氏 代表取締役社長
小林治仁 氏 人事総務部長

尾家産業
1947年、尾家商店として創業し、業務用食品の外食産業への卸売業務を営む。1961年、株式会社に改組。1995年大阪証券取引所二部上場、2000年、東京証券取引所二部上場、2004年、東京証券取引所一部に指定替え。
資本金:13億570万円、売上高:723億円、従業員数:814名(2014年3月末現在)。

取材・文/竹林篤実 写真/尾家産業提供、JMAM

いい教育がいい社員をつくり いい社員がいい会社をつくる 代表取締役社長 尾家啓二 氏

原点は人と人のつながり

尾家産業は1947年創業、業務用食料品卸売業を全国展開する東証一部上場企業である。創業当初より貫いてきた顧客本位の姿勢が評価され、多くの固定客を掴んでいる。

「顧客を大切にするあまり、効率を重視する今では考えられないような経営判断を下すこともありました。かなり前の話ですが、得意先が北海道に出店するのでサポートしてほしいと頼まれたのです。要請を受けた当時のトップは、札幌営業所の設立を即決しました。その頃の弊社には北海道の顧客は1社もなく、採算は当然合いません。けれども、お客様から頼られたら断らないのが、社の方針だったのです」

こう語るのは、代表取締役社長の尾家啓二氏だ。卸売業で何より大切なのは、顧客との人間関係である。モノを売る前に、担当者が顧客から信頼されなければ商いは始まらない。社員を顧客から評価される人材に育てるため、早くから教育に力を入れてきた。同時に、仕事をする際に当然心がけるべき注意事項を『尾家ルール』とし、その徹底に努めてきた。

そのうえでもう1つ、注力してきたのが、仕入先との関係づくりである。「利は元にあり」というように、仕入先あってこその卸売業である。得意先に加えて、仕入先と社員を大切にする。人を大切にする精神は、同社のDNAとして受け継がれてきた。

本音をテコに構造改革

2004年6月、転機が訪れる。東証一部上場と同時に社長が交代し、啓二氏が就任した。

「ちょうどデフレ傾向が出始めていた頃です。売上は500億円に達したものの、このまま安定した成長が続くとはとても思えませんでした。社員も590名ほどに増えています。

猪突猛進、社員の猛烈な頑張りに支えられてここまで来たとはいえ、このままでよいのか。一度、体制を根本的に見直すため、現状の問題点を全て吐き出してほしいと社員に投げかけたのです。尾家流社内構造改革の第一歩ですが、その結果は、驚くべきものでした」

社員から出てきたのは、労働時間や評価制度、人材育成などに対する問題提起である。これを受けて啓二社長は社員から上がってきた問題点を13のプロジェクトチームに分け、社長自身はかかわらないと明言したうえで、解決策を求めたのだ。この英断が同社を一新する。

「私が入ると、みんなが私の顔をうかがってしまう。それでは社員の本音の議論になりません。だから口は一切出さないことにしたのです。とはいえ経営トップとして長期ビジョンだけははっきりと示さなければなりません。これまでの“クリエイト1000”を“いい会社をつくろう”に変えました」

“クリエイト1000”の意味は、売上1000億円をめざせ、である。この売上至上主義の考え方を180度転換し、人に焦点を当てた。

「いい会社とは、そこに従事する人たちがまず自分自身を磨き、利他を思い、苦労の中から喜びと楽しみを見出し、常に新たな挑戦を繰り返し、成長する集団」――これが社長の考えたコンセプトである。“いい会社”をつくるためには、“いい社員”が必要であり、“いい社員”をつくるカギは教育にある。

直ちに教育を軸に据えた人事制度改革がスタートした。改革の旗手として、白羽の矢が立ったのが支店長として営業現場で数々の実績を重ねてきた小林治仁氏(現・人事総務部長)である。第一線で活躍している営業トップの抜擢は同社前代未聞のことである。

新人事制度の目玉に教育制度

「新しい人事制度をつくっても、それを社員一人ひとりまで浸透させなければ会社は変わりません。何年もかけて会社の屋台骨を変えていくには、強い推進力が必要です。いささか強引なところがあっても、ともかく前へと進むパワーを備えた人材、それには小林が適任と考えたのです」

人事制度改革にあたって何より重視されたのは、人が成長する仕組みを組み込むこと。試行錯誤の末に出来上がった人材育成型人事制度の柱となるのが『OIEオリジナル教育体系プログラム』である。プログラムの核の1つとして通信教育がはめ込まれた。自主性がないと続けることが難しい通信教育こそが、社員の主体的な学びを引き出すために最適と考えられたからだ。もちろん忙しい業務の中で取り組むには、時間の都合のつけやすさも魅力である。

「私自身が、いろいろな教育を受けてきた経験から考えても、主体性を引き出すには通信教育が一番と思いました。そうと決まれば、まず隗より始めよです。率先垂範の意味もあって私自身が『報・連・相』の講座を受けてみました」

社長自らが、業務のイロハのイともいえる『報・連・相』を受講する。その姿を見て、経営陣が続き、さらに管理職も学ぶ。まさに同社は「学ぶ」空気感に満たされている。

卸売り業務に最も必要な人間力を育む 人事総務部長 小林治仁氏

人を育てるための人事制度

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