J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2011年11月号

特集 既任管理職は学んでいるか? 学習する管理職が会社を強くする

自律的に学ぶものだと考えられてきた管理職。企業が提供する教育を見ても、重きが置かれるのは新任管理職まで。それ以降は手薄になっているのが現状だ。だが、管理職が任されている職場自体が、価値観の多様化、グローバル化、業務量の増大などによって変化し続けている今、組織運営はますます難しくなっている。他方、「マネジメント能力の向上」は多くの企業で課題となったままである。この状況を打破するためには、企業が管理職の学ぶ環境を整え、学びを支援し、自律的な学習へと促すことが必要ではないだろうか。時代に即した新しい管理職の学びと企業のかかわり方を探る。

管理職の学びは、“自律”任せでいいのか?

ベテランの管理職に、「最近、会社で受けた教育は?」と聞くと、「新任管理職研修以来ほとんど受けていない」という答えがよく返ってくる*1。多くの企業の教育体系を見ても、内定者研修、新入社員研修、3年目研修、新任管理職研修、OJTトレーナー制度、メンター制度など、企業が提供する教育の多くが新任管理職までに集中していることがわかる。新任管理職から数年を経た管理職(以下、既任管理職という)は、経営幹部やその候補になる人以外は、会社主導の研修を何年も受けないままでいることも珍しくない。こうした状況が一般的になっているのは、“管理職は自律的に学ぶべき”という通念があるからだろう。だが今回、本誌が行った管理職による覆面座談会(P45)では、新任管理職までの階層を中心に教育が展開されるのはわかる、としたうえで、それでも「管理職を育てようという会社の意識が薄いように思う」「自分たちももっと学びの機会を得たい」という率直な感想が聞かれた。これらの声を、企業は一度真摯に受け止めてみる必要があるのではないだろうか。産業能率大学が2010年に行った「上場企業の課長を取り巻く状況に関する調査」によると、過半数の管理職が「3年前より業務量が増加」したと感じ、「メンタルヘルス不安」を経験したことのある人が4割強にのぼる。管理職の負担感が増していることがうかがえる。これ以外にも、価値観の多様化、グローバル化など職場に集う人が変わり、組織運営が難しくなってきていることは想像に難くない。さらに、日本能率協会が経営者に対して実施する「当面する企業経営課題に関する調査」*2からは、「管理職層のマネジメント能力向上」が、2008年から2010年まで「人事・教育領域」におけるトップ課題となっている。多くの企業で“組織運営の難しさが増している”“管理職のマネジメント能力が課題である”にもかかわらず、既任管理職の“学び”を個人の“自律”に任せたままでよいのだろうか?企業側が学びの機会をつくり、管理職の学びをサポートするべきではないだろうか。少なくとも人材開発担当者であれば、既任管理職から、「なぜ」「何を」「どのように」学ぶ必要があるのかと聞かれた時に、答えられるようであってほしい。本論では、本特集から、それらの問いに対する編集部の見解をまとめる。

管理職が学ぶべき3つの理由

今、既任管理職が学び続けなければならない理由は大きく3つある。〈1〉組織として、個人として変化に対応するため〈2〉人間力、リーダーシップを高めるため〈3〉自身と部下を共に成長させるためそれぞれ以下に簡単に説明しよう。

〈1〉組織として、個人として変化に対応するため

変化の激しい時代、変化に対応できないことは、組織にとっても個人にとっても死活問題になりかねない。一橋大学の守島基博氏(P22)は、個々人が専門領域を広げ、「かなりの深さと複雑性を持った知的資源をミドル層が蓄える」ことで、組織全体として、予測できない環境変化に対応できるとしている。また、近畿大学の谷口智彦氏(P26)は、新しい環境を理解し対応するには、日頃から多様な解釈のレパートリーを持っていることが必要であるとし、それを個々人の経験の振り返りから獲得できるとした。環境変化とは、何もグローバル化や経営環境の悪化など大げさな変化を指すのではない。人事異動、新しいプロジェクトの立ち上げなど、企業人であれば誰もが経験するようなことも含まれる。

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