J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2011年12月号

JMAM通信教育優秀企業賞 表彰企業事例報告 ホーユー トップ・部門長・人事の連携で「自律協働型人材」を育てる

ヘアカラーをファッションとして、またより手軽で便利なものとして大衆に根づかせたホーユー。同社の通信教育制度は20年の歴史を持ち、その間受講率・修了率ともに高い水準を維持してきた。自己啓発の一環としてスタートした通信教育は、常に現場の声や時流を見据えながら見直しが図られ、今ではトップや部門長を巻き込んだ会社ぐるみの学びのツールへ進化している。同社の取り組みについて聞いた。

福田 要剛 専務取締役 専務執行役員 総務部・社長室担当
大脇 誠司 総務部 人事課 課長
土井 彩実 総務部 人事課

ホーユー株式会社
1905年、製薬会社「水野甘苦堂」として創業。1923年に「朋友商会」として株式会社設立、1964年に現在の社名に変更。2005年に創業100周年を迎えた。白髪染め、ブリーチなどヘアカラー製品等を製造、販売する他、プロ向けの商品も展開し、国内トップのメーカーとして事業を展開している。
資本金:9800万円、売上高:420億円(2010年10月期)、従業員数:890名(2011年2月1日現在)

取材・文・写真/石原 野恵

20年一貫して高い受講率と修了率

今やファッションとして当たり前になったヘアカラー。その歴史を牽引してきたのが、愛知県名古屋市に本社を構えるホーユーだ。同社の創業は1905年と古く、白髪染め、ブリーチなど数々の画期的なヘアカラーリング製品を開発・販売、現在では家庭向け市場で国内トップのシェアを誇る。まさに業界のパイオニアである同社では、自己啓発の一環である通信教育の受講率・修了率が非常に高い。同社が通信教育を教育体系に導入したのは1992年。人事制度の過渡期のことであった。当時、人事課長を務めていた福田要剛氏(現・専務取締役)は、導入時を振り返ってこう話す。「職能資格制度に基づく新人事制度の導入を開始し、1991年には人事課を新設しました。通信教育講座を開講したのはその翌年です。初めてのことでしたから、一体どれだけの社員が受講してくれるのかという不安もありました。ところが蓋を開けてみたら、なんと全社員の半数以上が受講してくれました」(福田氏)以来、毎年全社員の半数~8割以上が何らかの通信教育講座を受講しており、修了率も70~90%という高い数値で推移してきた(図表1)。それを可能にしたのは、毎年PDCAを回しながら制度を見直し、必要に応じて導入した一つひとつの仕掛けや取り組みである。具体的に見ていきたい。

継続改善により「実務に直結する学び」へ

初年度の自己啓発は、まずは1人でも多くの社員に受講してもらい、学ぶ風土をつくることを目的としていた。そのため趣味や一般教養のコースも豊富に設け、修了すれば受講料を全額補助とし、誰でも受講しやすいよう間口を広げた。その後、徐々にビジネススキルやノウハウのコースを増やし、育成の側面をより強化させていくが、2000年頃には受講率が一時低下。そこで再び、社員が親しめるよう一般教養のコースを増加させている。「当時需要の多かったライフプランやマネープラン他、韓国語のコースなども導入しました」(人事課 課長 大脇 誠司 氏)そして図表1を見ると、2005年に受講者数が増加していることがわかる。この時、経営基礎知識習得制度として「昇格要件講座」を導入したためだ。G3等級(課長代理級)と、G5等級(上位管理職級)への昇格にあたって、財務会計と法律・商法に関するテーマのコースを、その下位の職層に課すという新たな仕組みを運用し始めたのである。その背景には、代表取締役社長、水野新平氏の強い危機感があった。「当時、社長を交えた会議の席でROAやROEといった財務・会計用語を用いてディスカッションしようとしたのですが、メンバーが用語を理解しておらず、議論ができなかったことがあったそうです。また同時期に、事業拡大により契約や取引において書面締結の機会が増えたこと、海外現地法人など子会社設立も増加したことからも、最低限の商法の知識が必須だと考えました。そこで、これらのコースを、昇格要件として設定しました」(大脇氏)その結果、通信教育が自己啓発にとどまらず、「実務に直結する学び」として組織に定着。自己啓発だけの時には受講率が低かった部門でも受講者が増加したという。通常、昇格要件として受講を課すと「やらされ感」が強くなってしまう。同社でもそれまで昇格試験がなかったため、人事としては反感を持たれるのではと懸念していた。ところが社員からは「この時代、当然だよね」という反応が返ってきたそうだ。同社では、昇格要件講座導入に至るまでに通信教育を実務的な学びのツールとして浸透させてきた。それによって学ぶ風土の土台がつくられて、前向きな受講につながっているのだ。「修了後、即時に学んだことを活かす機会に恵まれるとは限りませんが、通信教育であれば、手元に教材が残ります。一人ひとりが自ら事あるごとに復習できるような環境を整えています」(大脇氏)

上司の率先垂範による部門別推奨教育

2009年に「部門別推奨教育」を開始したことも、受講件数を大幅に引き上げる結果となった。これは各部門長が自部門の人材に必要な知識やスキルに基づき階層別に推奨コースを選定する同社独自の仕組みだ。「部門別推奨教育は、2008年度の人事制度の変更に伴い設置されました。従来『一般職』としていた職掌を『Aコース・Pコース』、『総合職』を『Gコース』とし、役割も再定義することとなりました。狙いはプロフェッショナル人材の育成を強化すること。たとえばAコースの経理担当者なら、毎月の定型業務だけでなく、今後は決算書類や申告書も作れるくらいの高度なレベルまで担当してほしい。そうして全体を底上げしたいという考えがありました」(福田氏)全社員がプロフェッショナルとして今まで以上に力を発揮してもらうには、それ相応の育成体制も必要になる。そこで長期的な育成カリキュラムを制定。部門別推奨教育はその一環として位置づけられる。コース選定にあたっては、教育団体各社のガイドブックを部門に配布し、部門長がコースを選定、人事がそれを集約する。

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