J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2012年04月号

連載 グローバルビジネスに役立つ教養の本棚 第4回 歴史を学ぶ① 「構え」 物語と事実を分けて捉える

司馬遼太郎、藤沢周平、塩野七生らの小説を愛読するビジネスパーソンは多い。だが、その行為を「歴史好き」といえるかどうかは意見が分かれる。なぜなら、歴史「小説」と、「史実」は異なるものだからだ。

名藤 大樹(なとう・ひろき)氏
1998年、一橋大学商学部卒業。三和総合研究所(現 三菱UFJリサーチ&コンサルティング)入社。組織人事戦略の分野で民間企業、官公庁等に対するコンサルティング業務に従事。2006年一橋大学大学院商学研究科経営学修士コース修了。

歴史に親しむ前に知りたい「構え」

いうまでもなく、ビジネスパーソンが歴史を学ぶことはとても有益です。歴史を学ぶ意義は一つに集約できるものではなく、いくつか存在しますので、複数回に分けて解説していきます。

歴史と一口にいっても、世界史・日本史から、ビジネスの歴史、個々の会社の社史まで幅は広くあります。今回は、教養という言葉に寄せて、世界史や日本史といった大きなレベルの歴史を対象として、そうした歴史に親しむ際に重要となる基本的な「構え」を紹介します。

それは、世の中に「歴史もの」として流通している物語やエピソードと、「歴史的事実」とを分けて考えるということです。「司馬遼太郎の作品が好き」ということだけでは、「教養としての歴史を身につけている」とはいえないのです。「坂本龍馬に学ぶ、時代を変えるリーダーシップ」というのは「めざすモデル(理想像)を掲げた学習」として有効であることは否定しません。しかし、それは「作家が事後的に創造した坂本龍馬像に過ぎない」ことを意識しておく必要があります。

歴史に限らず、「創られた物語」と「事実」とを分けて考えることは、ビジネスパーソンに求められる基本的な態度のひとつです。しかし、こと歴史という領域になると、この区別が難しくなる傾向があるようです。

通常、ビジネスパーソンが見たり読んだりするもの(大河ドラマ、歴史小説など)は、ほとんどが物語に該当するものだと思います。これらはとても魅力的なだけに、信じさせる力に満ちています。

しかし、あえてグローバルに通用する教養としての歴史を学んでいくためには、少々硬く感じられても、歴史学者の著作を意識的に手に取って行く必要があります。それは、歴史学者はかなりの程度世界共通の手続きに基づいて研究を進め、歴史を記述しているからです。

ただし、歴史学者であれば必ず客観的・中立的、ともいえないのがこの世界の難しいところです。このことをどう自分の中で消化するのかが、歴史に対する「構え」の中核にあるように思います。

現在、ビジネスのグローバル化が進んでいます。物語と事実の区別ができないままに、「(日本でしか共有されていない)物語としての歴史」を外国人相手に語っては、相互理解は望めません。

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