J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2010年09月号

部下が伸びる上司の心得 最終回 部下の成長は、上司による成長機会のアサイン次第

コーチA シニアビジネスコーチ
長田 祐典(おさだ・ゆうすけ)氏
早稲田大学 政治経済学部 政治学科卒業。
化粧品会社を経てコーチAに入社。エグゼクティブコーチング、グループコーチング、コーチングトレーニングなどを実施。

5回にわたり、皆さんが職場で遭遇しそうなケースに合わせて、その対応方法をご紹介してきました。最終回では、上司が部下を成長させるために最低限持っておくべき心得をご紹介します。それは「部下の成長は上司のアサインにかかっている」ということです。

先日、ある製造業の人事の方に、人材育成の考え方を伺いました。その企業は、「人は、仕事:同僚:研修=7:2:1で学習する」という考え方のもと、OJTを通じて、仕事の中で人を育成することで成果をあげ、業界内でもベンチマークとなっている企業です。

皆さんもご存知の通り、部下は突然には成長しませんし、すぐに何かをできるようになるわけでもありません。人は、インプットしたものをアウトプットして初めて真に学習できるといわれています。前述の企業の育成方針も、まさにその仕事を「アウトプットの場」と位置付けたものといえます。上司は部下を成長させる大前提として「仕事の能力は仕事を通じて身につけ、高めることができる」ことを深く認識しておく必要があるようです。

今回のテーマ──「部下の成長は、上司のアサインにかかっている」は、部下の仕事の能力を仕事を通じて身につけ、高めるために心得ておきたい考え方です。では具体的に、どんな工夫ができるのでしょうか?

私のクライアントA氏は、先ほどの企業の中でも、特に人の育成面で社員のモデルにもなっている方です。A氏の事例をもとに考えていきましょう。

部下は何ができるようになるとよいのか?

企業には必ず目標があり、部下の育成も目標達成に向けて行われる必要があります。そこでまず上司としてするべきことは「目標を達成をするために、部下は今より何ができるようになるといいのか?」を棚卸しすることです。

棚卸しをするのは、能力であり、スキルであり、知識であり、ネットワークであり、そして考え方です。

A氏は以前から、部下の目標設定に時間をかけ、丁寧に面談を行っていましたが、
・部下の目標は何か?(目標共有)
・そのために何をするか?(行動計画)
についてしか会話をしていませんでした。その中で、「行動計画を立てても実行する能力がなければ、うまく行かないことに気づき始めました」(A氏)A氏はそこで、・目標達成のために、今よりも何ができるようになるといいのか?(成長目標)に関する会話を増やし、成長目標を共有するために時間をかけたのです。そして部下ごとの「成長目標リスト」をつくり、手帳にはさんで持ち歩くようにしました。

成長目標を達成するために何をアサインするのか?

部下と「今より何ができるようになるといいのか?」を共有したあと、次に上司として意識すべきことは、「それができるようになるためにどんな仕事や役割をアサインするのか?」です。A氏は「アサインをする際には工夫が必要。同じ仕事をアサインするにしても、工夫次第でその後のモチベーションが変わる」といいます。

A氏は新しい仕事や役割が発生すると、その仕事や役割を経験することで、どんな能力が身につくのかをイメージするそうです。次に「成長目標リスト」をもとに、そのイメージと照らし合わせて、部下の中でも誰にアサインするのかを考えます。そしてたとえば「この仕事を君にお願いしたい。この仕事は君が今期成長させたいと思っている『お客さまに商品を魅力的に伝える』スキルを身につけるには最適な仕事なんだ」とアサインをします。

部下にアサインの理由を考えさせても良いでしょうが、上司として明確に期待を伝えながらアサインをするのも効果的です。

達成に向けてどうフォローするのか?

仕事をアサインしたら、次に意識すべきことはフォローです。仕事の進捗と同時に、成長目標の進捗も確認します。

A氏は仕事の進捗を確認すると同時に、こんな問いかけをします。

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