J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2010年09月号

インストラクショナルデザイナーがゆく 第40回 米国発『ペット救急法』に上司の心得を垣間見た

寺田 佳子(てらだ・よしこ)氏
ジェイ・キャスト常務取締役、IDコンサルティング代表取締役、日本イーラーニングコンソーシアム執行役員、eLP(eラーニングプロフェッショナル)研修委員会委員長、JICA情報通信技術分野課題支援委員、JICA─NETInstructionalDesignSeminar講師、ASTD(米国人材開発機構)会員。
著書に『IT時代の教育プロ養成戦略』(共著、東信堂)など。
http://instructionaldesign.blog97.fc2.com/

意外と似ている「人対ペット」と「人対人」の関係

かっこいい“イケメン”、育児にがんばる“イクメン”に続く、第三のモテ男子って、ご存じ?

それは、“イヌメン”!

仕事ができ、オシャレで、ペットの犬を家族のように愛する心優しさも持ち併せる男子のこと。なるほど公園でも浜辺でも、トイプードルやミニダックスフンドなどの華奢で小奇麗なイヌをお供に、軽くジョギングしている男子が最近とみに増えている。すれ違いざまに振り返り、「カワイイッ!」などとつぶやきながら、ペットを眺めるふりをして飼い主に見とれてしまうのは、私だけではないだろう。

だから、「“イヌメン”を対象とする米国のトレーニングを日本に導入する」と聞けば二つ返事でお手伝いさせていただくのは当然のことである。……いえ、下心なんてゼンゼンありませんよ、ホントに!

というわけで今回、非常に前向きに取り組んだのは、『ペットの救急法(Pet First Aid)』というトレーニング。これは、ペットと飼い主(もちろん女子も含む)のより良い関係をめざして、さまざまな情報や教育トレーニングを提供している米国のペッツ・アメリカ(Pets America)の、インターナショナル・トレーニングセンターが提供する認定コースである。『ペットの救急法(Pet First Aid)』は、ペットの体調が悪くなった時や事故に遭った時に、病院に連れて行く前の処置として、飼い主が身につけておくべき救急救命の知識と技術を提供するもの。米国では、災害時のペットの救急法を中心に普及していったが、最近は特に都会に暮らす若い層へのアピールに力を入れているとか。米国でも、若い人のペット人気は高まる一方だが、やはりスタイル重視で命が大事という意識が少ないために、「助かる命が助からない」ことが多発しているという。だから、こうした飼い主に対するトレーニングが盛んに行われており、eラーニングコースも提供されている。

──なるほど、理想の“イヌメン育成”はグローバルな課題、というわけですな。

では早速、その内容の一部をご紹介しよう。まず、緊急時の飼い主の対応について。ペットが事故に遭ったり、急に体調が悪くなった時、一番大事なのは慌てないこと。一瞬の“間”をおいて落ち着き、次に周囲とペットのコンディションを冷静に“観察”することが、その後の安全でスムーズな救助活動につながる。

ペットとの信頼関係を築くには、この“間”あるいは“距離感”と、“観察力”が、非常に大事な要素になる。たとえば、ペットはケガをしたりイタイ思いをした時、自分を守るために攻撃的になる。まともな状態ではないのだが、飼い主はそう考えたくないので、つい安易に手を出して「飼いイヌに手を噛まれる!」。獣医学研究者ジョフ・ホール曰く、「動物は痛いと暴れるもの。飼い主は、すべてのイヌやネコは噛むことができることを忘れてはならない」。だからペットがパニックになったら、飼い主はまず“間”あるいは“距離”を取り、状況確認を行う。そして、ペットを脅かさないように、側面から近づき、ゆっくりとやわらかな口調で呼びかけなければならない。

──カウンセリングの「斜め45度の理論」ですな、これは。

またイヌ同士が喧嘩をしている時に、間に割って入るのは危険。背後からゆっくり近づき、それぞれの後ろ脚を二人でひっぱり、距離をおいて落ち着かせるのが得策だ。一方、ネコ同士の喧嘩はちょっと勝手が違う。いつも入念に毛づくろいしてキメている頭や顔に水をかけるのが効果的。水をかけられたネコは、ご自慢の顔が変なふうになったのではと、そちらのほうが気になって喧嘩どころではなくなるそうだ。

──うーん、身近を見回してみると、人間にもイヌ型やネコ型がいるなぁ。

新説!?ペットにモテる人は会社にも好かれる

通常、ペットはボディランゲージで気持ちを伝えようとする。身近な人に当たり散らす、毛なみがだらしないのは体調が悪いシグナル。さらに飼い主は、ペットの姿勢や耳や尻尾の位置を観察して、精神状態や体調を読み取らなくてはならない。飼い主のペットへの関心の持ち方が、信頼関係づくりの良し悪しを決めるのだ。

飼い主が行う日常的な観察のアクションステップは、“見る・聞く・感じる”の3ステップで、具体的には以下のような項目がある。

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