J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2010年09月号

企業事例(読む①) TKC 読書を習慣化する仕組みで自分軸を持つ人を育てる

会計事務所や地方公共団体などの専門業務を、情報テクノロジーを使ってサポートする事業を展開するTKC。
同社では、創業時から社員に読書を奨励する制度を取り入れてきた。
読書を知識・スキルの向上と自分の考えを相手に伝える能力の強化に役立つものと位置づける、同社ならではの読書制度を紹介する。

岩田 仁氏
代表取締役 副社長執行役員 経営管理本部長


玉井 美喜子氏
首都圏西SCGサービスセンター システム・コンサルティング・グループ サブチーフ


TKC
1966年創業。以来、会計事務所と地方公共団体の分野に特化した各種情報処理サービス事業を展開。同社が組織するTKC全国会は、1万名超もの税理士・公認会計士が所属する、国内最大級の職業会計人集団として知られる。
資本金:57億円(2010年9月現在)、売上高:497億円(2009年9月期単体)、経常利益:69億円(2009年9月期単体)、従業員数:単体2256名(2010年4月1日現在)

取材/井戸沼 尚也、文・写真/高橋 美香

専門家とのビジネスには読書が必要不可欠

TKCは、会計事務所およびその関与先企業、地方公共団体へソフトウェアや情報処理といったサービスを開発・提供する企業である。同社では、社員の「読む力」を強化するために、書籍購入費を会社が支援する制度を設けている。社員教育を長年担当してきた代表取締役副社長の岩田仁氏は、社員に書籍を読ませる理由をこう語る。「当社のメイン顧客は、税理士や公認会計士、地方公務員です。税務・法律、行政などの専門分野のプロである顧客との知識量のギャップを埋めるには、読書を通して知識を吸収する以外に方法はありません」(岩田氏、以下同)

同社では、会社の伝統として読書を重んじてきた。そもそも、税理士・公認会計士で、同社の創業者である飯塚毅氏は、業務に関する書籍を無制限に送るよう書店に依頼したという逸話が残るほど、大の読書家だった人物だ。

しかし、同社が読書で社員に学んで欲しいと思っているものは、専門知識だけではない。「たとえば、飯塚が執筆した『自己探求』には、自分自身を見つめ、自己理解をすることの重要性が記されています。当社が求める人材像は、世の中のセオリーを理解しつつ、自分で正しい決断ができる人。自分の判断軸を持って、専門家と話ができるような人になって欲しいのです。そのためにも、幅広いジャンルの書籍を読むことが必要だと考えています」

創業時から続く会社による読書支援

具体的には「個人図書購入支援制度」という制度を設けている。同制度は、書籍購入代を会社が負担するというもの。1991年に導入以来、延べ1424名が利用。購入書籍数は1万6188冊。書籍購入代は累計で2988万円にも上る。書籍購入の上限金額は、課長職以上の役職社員:30万円、チーフ・サブチーフ職:20万円、一般職社員:10万円である。「購入月の翌月末までに1000文字以上のレポートを提出する必要はありますが、対象書籍はジャンルを問わず、小説でも構いません」

社員に読書を習慣付ける仕組みは他にもある。個人図書購入制度のもとになった「読書命令制度」だ。会社が指定する書籍を原則10回読み込み、レポートを提出させるというもので、同社の前身、飯塚毅会計事務所が設立された翌年の1947年の文書にも記録が残されているほど、歴史ある制度である。

この読書命令は会社からの他、部門長からも発令することができ、必要に応じて新入社員から役職者までを対象とする。また、原則1回書籍を読み終えるたびに上司に報告し、指定の用紙に捺印してもらう仕掛けになっている。「先日もグループリーダー以上の管理職者に対して『ドラッカー365の金言』の読書命令が発令され、提出されたレポートを一冊の文集にまとめ、皆に配りました。レポートを読めばその人が何を読み取ったのかがわかるので、手抜きはできません」

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