J.H.倶楽部

無断転載ならびに複製を禁じます。なお内容は取材・掲載当時の情報です。

月刊 人材教育 2012年07月号

連載 グローバルビジネスに役立つ教養の本棚 第7回 哲学を学ぶ 「 西洋哲学」西洋人の思考を理解する

哲学は過去の遺物ではない。一見遠く感じるが、現在にも確かに影響している。たとえば、西洋の哲学者たちが考えたこと??三権分立や基本的人権などがそうだ。そして西洋哲学を知ることは、西洋人を理解し相互理解を進めるうえでも大いに役立つのである。

名藤 大樹(なとう・ひろき)氏
1998年、一橋大学商学部卒業。三和総合研究所(現 三菱UFJリサーチ&コンサルティング)入社。組織人事戦略の分野で民間企業、官公庁等に対するコンサルティング業務に従事。2006年一橋大学大学院商学研究科経営学修士コース修了。

哲学は実益につながるか?

突然ですが、次の言葉、どのような人が語ったものだと思いますか?『わたしはどうも「哲学」というものを肯定的なものとして受け取ることができないのです。社会生活ではなんの役にも立たない、これは認めなければいけないと思います』

実務を重んじるビジネスパーソンの発言、として紹介されておかしくない印象の言葉ですが、実はこれは、日本を代表する哲学研究者の一人、木田元氏が80 歳近くになって出版した本の冒頭に出てくる言葉です。(木田元『反哲学入門』p.17より引用)

哲学研究を極めた大家の言葉ですから単純に額面通りに受け取って良いわけではないでしょうし、本書ではこの言葉の後に「それでも哲学を考えざるを得ない人間がいる」という趣旨の論述が続いています。

今回は、まず「哲学など勉強して何の実益があるの?」という問いに対して私なりの考えを述べます。

私自身がビジネスパーソンを本業としながら哲学の勉強をしてみて感じるのは、哲学というのは、私たちがビジネスをしている現代資本主義社会の基礎研究(R&D)的なところに位置づけられるものではないかということです。

哲学を知るということは、現代の社会を理解するうえで、自然科学でいうところの、原子や分子レベルの知識や理解を得るような位置づけにあるように感じます。人は、原子や分子のことを知らなくても、それらで構成された器具を使うことはできます。研究者でもない人物が、器具を十分に使えないにもかかわらず、原子や分子のことばかり勉強していたら「まずは器具の使い方を覚えなさい」と怒られるのが関の山でしょう。あるいは「いきなり原子・分子まで遡らずに、まずは器具を構成する個々の部品を知りなさい」といわれるかもしれません。

以上の話を、原子や分子=哲学、個々の部品=経済学や会計学、器具を使う=ビジネスで成果を出す、と置き換えると現代社会に丁度当てはまるのではないかな、と私は感じています。

こちらはJ.H.倶楽部会員限定記事です。
ご入会後、続きをお読みいただけます。

残り:847文字

/

全文:1,694文字

【入会・年会費無料】

J.H.倶楽部は人事の仕事に役立つ特典が満載です!

  1. 総数2000本以上の人事の実務に役立つ記事(※)が閲覧可能
    ※専門誌『Learning Design』(旧『人材教育』)の記事
  2. 新サービス・お役立ち情報(調査報告書・ホワイトペーパーなど)の先行案内
  3. 会員限定セミナーへのご招待/講演動画・配布資料の閲覧
  4. 興味関心に沿った必読記事を、メールマガジンでお知らせ!