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月刊 人材教育 2011年09月号

酒井穣のちょっぴり経営学 第8回 会計学2 ここを見る!会社の台所事情

前回は、人事・教育担当者が会社の会計の、どこを押さえておけばいいのかを見てきた。今回は、引き続き押さえどころである「損益計算書」と「キャッシュフロー計算書」について紹介する。「会計学」の基礎を理解すれば、会社の状況(=健康状態)を正しく把握するのに役立つ。人事・教育施策はそのうえで構築する必要がある。


酒井 穣(さかい じょう)
フリービット取締役(人事担当/長期戦略リサーチ担当)。慶應義塾大学理工学部卒。TiasNimbasビジネススクールMBA首席。商社勤務の後、オランダの精密械メーカーに転職。2006年にオランダでITベンチャーを創業しCFO就任。2009年4月に帰国し現職。近著に『これからの思考の教科書』(ビジネス社)、『「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト』(光文社)がある。人材育成メルマガ『人材育成を考える』(無料)を毎週発行している。
http://www.mag2.com/m/0001127971.html

前回は、「会計学 キソのキソのキソ」と題して、人事が会計学を学ぶ意義から、実際に何を知っておくべきかを紹介しました。資産とは「価値を生み出しうる可能性」であることを正しく理解したうえで、貸借対照表の本当の意味を考えましたね。今回は、損益計算書のキソのキソ、そして、ビジネスパーソンであれば、誰もが理解しておかないとならない「営業利益(率)」について考えていきます。そして最後には「キャッシュフロー」についても、基本的なことを見ておきましょう。

損益計算書の基本構造

売上-コスト=利益。その計算過程を表したものが「損益計算書」と、前号の最後でも見てきました。その基本構造は、図表1のようなものです。売上総利益、営業利益……たくさんの「利益」があって、よく意味がわかりませんね(笑)。でも、財務部門や経理部門に所属していない人にとっては、それが普通です。でも、ここでグッドニュース!財務部門や経理部門の人でない限り、この中で絶対に知っておかないとならない利益とは、「売上」から原材料費などの「原価」と、人件費などの「販売管理費」を除いた「営業利益」だけなのです。

●損益計算書の読み方

利益の種類を理解するために、次の図表2を見てください。縦軸は、継続的に発生しているビジネスからの利益か、偶発的に発生した利益かを分けています。また、横軸はそれが会社にとって本業に属するビジネスからの利益なのか、それとも副業的なビジネスからの利益なのかを分けています。ここで、最も注目すべきなのは「継続的に発生する本業」の力(=営業利益)。ここがしっかりしていない限り、会社として、どうにもならないからです。個人の例にたとえてみれば、こうした「継続的に発生する本業が生み出す利益」とは、会社からの給与ということになるでしょう。臨時のボーナスや、副業からの収入もあるかもしれませんが、基本的に、自分の本業で稼ぐ力があるかどうかが、その個人のキャリアを判定する時には重要です。会社としても、副業での儲けや、偶発的に発生する儲けは、経営の「本当の力」を表しません。ですから、他の利益は無視しても、まずは営業利益を評価することが、何よりも大切なことなのです。

営業利益率で自社の「本業の力」を見る

この文脈で誰もが気にすべきポイントは、自社の本業が、業界平均と比較してどれぐらい優れているのかという視点でしょう。この場合は、対売上の営業利益の割合(=営業利益率)が用いられます。2007年とやや古いデータで恐縮ですが、業界別に、この営業利益率の平均を見てみましょう(図表3)。どうでしょうか?あなたの会社は、業界平均に勝っていますか?

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