J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2011年08月号

TOPIC② 「 HRカンファレンス2011」レポート 就職情報サイト3社と現役人事担当者が語る! 変化に対応する新卒・若手採用戦略

去る5月24日・ 25日の2日間にわたり、秋葉原UDXにて「HRカンファレンス2011」が開催された。同カンファレンスは、人事・労務関連のポータルサイト『日本の人事部』を運営するアイ・キューが主催するものだ。本誌では、1日目に「変化に対応する新卒・若手採用戦略」というテーマで実施された、パネルセッションの様子をレポートする。

取材・文・写真/高橋美香

パネルセッション A2012年度の中間総括と今後の展望

■パネリスト

岡崎仁美氏

リクルート リクナビ編集長

栗田卓也氏

毎日コミュニケーションズ 就職情報事業本部HRリサーチセンター長

渡辺茂晃氏

日経HR 日経就職ナビ編集長

■司会

楢木 望氏

ライフマネジメント研究所 所長

1日目の24日は「変化に対応する新卒・若手採用戦略」をテーマに、人事・採用の分野の識者・キーパーソンらによる2つのパネルセッションの他、基調講演、特別セミナーなどが実施された。

最初のパネルセッションは、これまでに実施された2012年度の新卒・若手採用の振り返りと、それを踏まえた今後の採用の展望がテーマとなった。

パネリストは、大手就職情報サイトのキーパーソン3名。第三者の立場から、2012年度の就職活動状況、学生の動き、企業の動きについて、ディスカッションを通じて論じた。

一方、午後に実施されたパネルセッションは、現役で企業の人事・採用に携わる人物をパネリストに招き、現在行われている採用戦略の紹介を交えたディスカッションを実施。

これらパネルセッションは、大阪会場に中継され、人事・人材開発担当者にとってまたとない情報収集の場となった。

同パネルセッションは、ライフマネジメント研究所所長楢木望氏の司会進行で行われた。

多くの学生が就職活動での情報収集の拠り所としている代表的な就職情報サイト、リクナビ、マイナビ、日経就職ナビを運営する各社によって、中間総括が行われた。

採用日程変更で生じた“二極化”

3月11日に発生した東日本大震災、福島原発問題による計画停電の実施等、これまでに類を見ない問題が山積している日本社会。こうした状況下で行われた2012年度の新卒・若手採用の現場では、どのような傾向が見られたのか……。パネルセッションは、司会を務めるライフマネジメント研究所所長の楢木望氏からのそうした問いかけから始まった。

「企業の採用意欲は、震災前までは高まりつつありました。一方で学生のほうは、厳しい就職活動へのある種の“慣れ”からエントリーを控える傾向があったため、企業が学生との接触に苦慮する場面が見られたのが震災前までの特徴でした。しかし、3月11日に発生した東日本大震災によって、選考時期を遅らせる企業が続出しました。これは、後半の就職活動の流れにも影響を与えると見ています」(毎日コミュニケーションズ 栗田卓也氏)

震災による選考時期変更は、就職活動を行う学生・若手にどのような影響を与えたのか。日経就職ナビ編集長の渡辺茂晃氏はこう説明する。

「企業側が選考を一時休止したことで、学生の就活も中断。予定がなく手帳が真っ白になり、不安を抱く学生が急増しました。日経就職ナビには、採用がストップしたこの時期に何をしておくべきか、といった相談が多く寄せられました。また、教員免許取得をめざす学生は、選考時期の遅れで選考と教育実習の時期が重なってしまい、焦りを抱いている人も少なくありません」

震災による選考活動への影響を、リクナビの岡崎仁美氏は「二極化」というキーワードで説明する。「学生も企業も震災の影響で作戦を立てづらい状況にあります。まるでほとんどの企業が採用を完全に中止しているかのようなマスコミの報道を真に受けた学生が就職活動を中止しました。そのため就職活動を継続している学生には情報が集まり、活動を休止している学生には情報が届かないという二極化が起きています。

これは企業側でも同じです。世界の景気が上向いていることを視野に入れ、投資の手を緩められない、と考えている企業では採用活動が順調に行われているのですが、そうでない企業ではうまくいかないという二極化も起きています」

未曾有の大震災による選考活動の遅れが企業にも学生にも大きな影響を与えた2012年度の新卒・若手採用。前半までのこうした動きが、後半の採用活動にもなんらかの影響を与えることは間違いなさそうだ。

経団連『倫理憲章』見直しによる影響

2011年1月、経団連はいわゆる『倫理憲章』の見直しの考えを示した。見直しの内容は、2013年4月入社予定者の採用選考活動から、企業の採用等の広報活動開始時期を現行の10月1日から12月1日に遅らせるというものだ。

これによって考えられる影響について、渡辺氏は次のように話す。

「大学の学内ガイダンスは、これまで通り10月頃の開始になりますが、企業が大学に出向くことができる時期は、12月以降。就職情報サイトの掲載開始時期も12月になります。学生が企業とリアルに接する機会が遅れることで、企業を見る視野が狭まり、企業に関する知識も少なくなるのではないかという懸念があります」

さらに、栗田氏は、多くの学生が就職活動を通して社会人化していくことについて触れ、就職活動期間が短くなることによるリスクをこう指摘する。

「大学3年生の秋の時点では知っている企業を10社も挙げられない学生が多い。学生は、そのレベルから就職活動をスタートします。そして企業と接触することで企業研究が醸成され、4月には自分のことを他者に的確に説明できるように成長していくのです。来年は就職活動の期間が短くなることによる弊害も少なからず出てくる可能性があります。たとえば業界研究や企業との接触がおろそかになり、志望動機が明確にいえず、自己PRしかできない学生が増加する可能性があります」

もちろん、早期から業界研究・企業研究を行っていればそうした問題をカバーすることは可能だろう。しかし、全ての大学でそうしたきめ細かなキャリア教育ができるとは限らない。また、学生の就職活動の意識にも個人差がある。企業としては、就職活動以前に社会化していてほしい、というのが本音だろう。

個々で成長できる人とできない人の差が拡大すれば、優秀な人材が奪い合いになる可能性は高い。採用側は、能力の高い人材を採用するか、可能性のある人材を採用して育てるのか、という選択を迫られる時に来ている。

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