J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2013年04月号

CASE.3 サントリーホールディングス より安心して働ける環境に 65歳定年制を導入し、シニア層のさらなる活躍を促す

サントリーホールディングスは、60歳で定年退職した社員を嘱託社員として再雇用する従来の制度を見直し、この4月より、正社員としての雇用を65歳まで延長する「65歳定年制」を導入する。
対象となるのは、同社に籍を置く約5,000人。
定年を延長するねらいと、シニア層を活かすための施策などについて取材した。

森原征司 氏 人事本部 課長
サントリーホールディングス
1899年創業、連結従業員数:2万8532名(2011年12月現在)。連結売上高:1兆8516億円(2012年度)。2009年純粋持株会社制に移行。酒
類・食品・健康を軸に多彩な事業を展開。
[取材・文]=増田忠英 [写真]=本誌編集部、サントリーHD提供

従来の制度ではモチベーション面などに課題も

サントリーは2001年から定年退職者再雇用制度を運用してきた。再雇用後は嘱託社員(エルダーパートナー、以下EP)となり、単年契約で最長5 年間まで延長できるようになっている。処遇は基本的に一律で、年収は定年前よりも下がる。定年退職者の約7割が再雇用を希望し、そのほとんどが再雇用されており、2011年の新規再雇用者数は80 名。2012年10月時点で359 名の再雇用者が働いている。「多くのEPが、定年前と同じ職場で専門性を活かして働いています」と人事本部課長の森原征司氏は話す。

2009 年の純粋持株会社制移行後、人事制度全体の見直しに着手した人事本部は、シニア活用のあり方についても検討を行い、現行の再雇用制度に関する社員へのヒアリングを実施。その結果、浮かび上がった課題とは――

「再雇用では正社員から嘱託社員に立場が変わるため、本人や周囲が互いに遠慮してしまう、といったことがありました。また、成果を給与などの処遇に結びつける仕組みが十分でない中、モチベーション面での課題を指摘する声もありました。一方、マニュアル化できない技術伝承など、これまで培ってきた経験を活かすことも含めてシニア層に担ってほしい役割があり、若々しい心持ちでイキイキと活躍している方が大勢いらっしゃる。こうした実情を踏まえ、シニア層により一層活躍してもらうにはどうすればいいかという観点から、制度の見直しを検討してきました」

そして導き出されたのが、65歳定年制の導入である。

期待役割の明示と考課による処遇変動で意欲を高める

従来の制度との大きな変更点といえるのは、65歳まで正社員として雇用を継続することと、期待する役割を明示したうえで考課による処遇の変動を取り入れたことの2つだ。後者については、新制度では3 段階の新資格が設けられ、60歳時点の資格に基づき新資格に移行する形になる。そして、60歳以降も60歳以前と同様に目標設定を行い、考課に基づいて処遇が変わる仕組みを継続。いずれも、シニア層の意欲を高めることがねらいだ。年収は、一般的なメンバー層で60歳時点の6 ~ 7割程度となる。それでも、従来のEPの年収よりはアップする。また、住宅手当など、従来はなかった福利厚生制度は60歳以前の制度をそのまま適用。より安心して働ける環境を整備した。

「65歳定年制の導入にあたり、60歳以前の処遇体系は変更していません。会社としては、『元気なシニアにより一層活躍してもらう』という考えを基本思想に据えていることが一番の理由です。また、定年を65歳としたからといって、全員が65歳まで勤め上げなければいけないと考えているわけではありません。ですから、65歳までの勤務を望まない社員が不利益を被ることのないよう、60歳以前の処遇は変更しないこととしました」

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