J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2011年08月号

酒井 穣のちょっぴり経営学 第7回 会計学① 会計学 キソのキソのキソ

今回は、「経営学」の中でも「会計学」(Accounting)の基礎について取り上げる。人事社員は苦手意識を持ちがちな「会計」だが、会計を知れば、組織の健康状態を把握することができる。また、組織の状態を理解したうえでの仕事や戦略が、人事・人材開発にも求められるのである。


酒井 穣(さかい・じょう)氏
フリービット取締役(人事担当/長期戦略リサーチ担当)。慶應義塾大学理工学部卒。TiasNimbasビジネススクールMBA首席。商社勤務の後、オランダの精密械メーカーに転職。2006年にオランダでITベンチャーを創業しCFO就任。2009年4月に帰国し現職。近著に『これからの思考の教科書』(ビジネス社)、『「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト』(光文社)がある。人材育成メルマガ『人材育成を考える』(無料)を毎週発行している。
http://www.mag2.com/m/0001127971.html

教科書に載っていない会計学の基礎

人事部門の人にとって、会計学(Accounting)というのは、なかなかとっつきにくいものではないかと思います。勉強のために簿記の資格を取得している人もいるかと思いますが、それでも苦手意識を持っている人も多いでしょう。

今回は、そんな会計学について、本当に基礎的なことを確認したいと思います。

ただ、会計学に関する本の多くは、専門家や実務家に向けて書かれたものなので、今回取り上げるような「基礎の基礎」というのは、意外と教科書には載っていないものです。

今回は、会計学の基本となる貸借対照表(Balance Sheet:B/S)、そして次回は損益計算書(Profi t and Loss:P/L)について考えます。これだけで十分というわけにはいきませんが、逆に、ここを押さえておかないと人事としても問題になります。そんな最低限の知識について取り上げてみます。

人事教育担当者が会計学を学ぶ意義

財務や経理の人が会計学を学ぶのは、実務上当然のことでしょう。少なくとも、税金を支払うための「税務会計」を理解していないと、法令に従った「税務申告」ができないことになってしまいます。

しかし、会計学は全てのビジネスパーソンにとって必須という意見を多く聞きますよね。この意見に異論を唱える人は少ないものの、実際のところどうなのでしょうか?

そして、人事が会計学を理解する意義とは、どこにあるのでしょうか?

この疑問に答えるには「何のために会計学を使うのか」という点について合意することから始めなければなりません。何のためか――僕は、財務や経理以外の人にとっての会計学は「会社の健康診断に使うもの」と考えています。

●3つの会計

一口に会計といっても、その中身は3つの種類に分けることが可能です。その中で、財務や経理以外の人が知っておくべき会計とは「管理会計」という分野になります。

ビジネスのフローを会計的に記述してみると、図表1のように簡素化することができます。その中で、管理会計とは最も上流にある会計分野であり、その目的は、会社業績を向上させるために「会社を数字で見る(=健康診断する)」ことにあります。

管理会計から見て下流にある会計は、財務会計(お金の流れを把握する)と税務会計(法令に沿った会計報告をする)ですが、ここに関しては、財務や経理(そして経営者)以外が深く理解する必要はない分野でしょう。

たとえば、人事部を維持するためのコスト(人件費や地代家賃)は、競合他社と比較して高いか、安いかという分析をしたことはありますか?これを実施しないままに、何となく「うちの人事部は忙しい」とか「うちは人が足りていない」というのは、プロとして恥ずかしい発言ではないでしょうか。

このように、管理部門も含めて、ビジネスへの付加価値とコストのバランスを考えるためにこそ、会計学の知識が必要になってくるのです。

●資産とは何か

皆さんは、「資産」という言葉の意味を考えたことはありますか?

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