J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2011年04月号

ASTDの 組織・人材開発プロフェッショナル 認定資格CPLPの意義

今、企業は、世界で戦える優秀な人材を育てる必要がある。
そのためには、まず人材育成を担う人材開発部門およびそのメンバー自身が
世界で戦えるだけの強いプロフェッショナル集団になる必要がある。
本稿では、ASTDが開発・認証している資格、CPLPの紹介を通じて、
より強い人材開発部門になるための具体的な道筋を探る。


入江 倫成氏(いりえ・みちなり)
1977年神奈川県生まれ。早稲田
大学法学部卒業後、ウィルソン・
ラーニング ワールドワイドにて
マーケティング、営業、コンサル
ティング、インストラクションな
どに従事。2008年4月よりエイ
チ・アール・ディー研究所にて
活動。「人材開発部と一緒に“よ
り強くなる”ことが、企業の組織・
人材開発課題の本質的な解決策
になる」という信念のもとに活
動している。メールアドレスは、
irie@hrdins.co.jp

2つの声からわかる事実

「日本本社の人材開発部門にプロといえる人がいないから、あまり相談はしないね」――これは欧米の人材開発系カンファレンスに出席した際に、現地子会社の米国人人材開発担当者が何気なくいった一言である。

もう1つ、「他の企業からうちの人材開発部にヘッドハンティングしたいという人材は皆無ですね」――これは日本のあるグローバル企業の人材開発部長から聞いた話である。

この2つの声からわかることは、日本企業の人材開発部に「組織・人材開発の専門性を持った人材」が不足しているということである。キャリアパスや専門教育機関が少ないなどの外部要因もあるが、一方で、ビジネスのグローバル化という現実は避けられず、そこで人材開発部は「世界で戦えるプロフェッショナル人材の育成」という大変重要なテーマを持つ。そのためには、まず企業内人材開発部が組織・人材開発のプロフェッショナルとして“強く”ならなければならないと思う。

では組織・人材開発のプロフェッショナルとは具体的に何なのか?

ここでは「部門としての活動」と「個々のメンバーに求められる能力」の2つの側面で見ていきたい。

まず前者「部門としての活動」である。ここ10年位の間に「戦略的人材開発」という言葉が企業内人材開発部や外部コンサルタントの間に浸透してきた。これは「企業戦略と人材開発の連携」を意味しているが、そういうことのできる人材開発部の活動を俯瞰すると、図表1のように示すことができる。

これはHRDコンピテンシーモデルといい、エイチ・アール・ディー研究所がこれまでの経験を元に「企業の戦略遂行を実現できる社員育成のために必要な、人材開発に関わる部門の活動を網羅的に言動で定義したもの」である(4つの領域の活動を各企業の人材開発部にとって最適なレベルで発揮することが求められる)。

そして、このような活動を行うためには、後者「個々のメンバーに求められる能力」も当然であるが“あるレベル”が求められる。その具体的な指針となるのが本論で紹介するCPLPという資格である。

組織・人材開発のプロに必要な9つの知識領域

CPLP(Certified Professional inLearning and Performance)は、直訳すると「ラーニングとパフォーマンスの領域における認定されたプロフェッショナル」である。組織・人材開発プロフェッショナルに求められる能力をASTD※1が体系化し、CPLPという認定資格をつくったのだ。

日本ではASTD日本支部であるASTD International Japan※2の会長である中原孝子氏(以下中原会長)らを中心にその普及活動をされている(なお、CPLPはテキストや試験を含めて現状全て英語であり、今後の日本語化の予定はない)。

本論では、このCPLPの概要について説明をしていく。まず、CPLPを取得するための3つのプロセスを紹介する(図表2)。

1、【経験】 CPLPを受験するためには最低3年のビジネス実務経験が必要である。

2、【知識】 CPLPが定義する9つの領域の知識テストに合格すること。

3、【パフォーマンス】

CPLPが定義する専門領域におけるワークプロダクト(実際のパフォーマンスを示すことのできるレポートや映像類)を提出し審査に通ること。

またCPLPは3年ごとの更新制で、更新の都度、ワークプロダクトを提出し審査に通る必要がある。「取得して終わり」でも「更新手続きをして終わり」でもないところが徹底しており、CPLPの取得をめざす人たちも、一定の覚悟をして臨むことが求められる。

CPLPを学ぶことで、すぐに皆さんの業務の参考になるのは、CPLPの定義する9つの知識領域だろう(図表3)。

これら9つの領域を学習するためにASTDでは専用のテキストを出版・販売している。これらは、1~9のそれぞれの領域の専門家が執筆しているので、理論や方法論を体系的に学習することができる。組織・人材開発のプロフェッショナルをめざすのであれば、最低限知っておかなければならない知識であり、共通言語である。資格取得を目的にせずとも、一読をお勧めしたい。

資格取得の際には、この9つの領域から150問の選択式知識テストが実施される。

これをクリアすると、パフォーマンスを評価されるテストが実施される。それが「ワークプロダクトの提出」というものである。

これは、CPLPが定義する9つの領域の内の(1)~(6)から自分の専門領域に応じて1つの領域を選択し、CPLPによって定義されたワークプロダクトを提出・審査を受けるというものである。

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